判例コラム

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第382号 「CSRのため」なら大丈夫か?  

―47億円余の寄付が問う利益相反マネジメント―
~静岡地裁令和8年3月13日判決※1


文献番号 2026WLJCC020
青山学院大学 教授※2
弁護士法人 早稲田大学リーガル・クリニック 弁護士※3
浜辺 陽一郎


Ⅰ はじめに
 「地域のため」「文化のため」「企業の社会的責任(CSR)のため」。企業が寄付をするとき、こうした説明は一見もっともらしい。しかし、寄付先が経営者や創業家と密接な関係にあり、寄付金が別の関係会社へ流れていたとしたらどうだろうか。今回取り上げるのは、スルガ銀行(原告)とその株主(参加原告)が、創業家出身の旧経営陣らに対し、多額の寄付で銀行に巨額の損害を与えたとして会社法423条1項に基づく責任が問われた事件の差戻審である(以下、スルガ銀行を「原告」といい、創業家出身の旧経営陣らを「被告ら」という。)。静岡地判令和8年3月13日(以下「本判決」という。)は、CSR目的があっても、資金の流れと利益相反のチェックを省略してはならないことを明示した。
 本訴訟は平成30年(2018年)に提起され、約6年もかかった原審は被告らの任務懈怠を全面的に否定していた※4が、東京高裁が共同訴訟参加をめぐる手続上の理由から原判決を取り消して差し戻していた※5ところ、本判決は、旧経営陣側の責任を認め、総額約47億円の賠償を命じた。
 スルガ銀行をめぐっては、本コラムでも、筆者の前回の担当で、シェアハウスローンに関する事件を取り上げた※6。前回は、営業現場における不正が広がりながら、それを止めるべき内部統制の機能不全を問題にした。今回の事件はそれとは別件だが、興味深いことに、本件もこれとおおむね同じ頃に起きていた。片や営業現場での不合理な融資を止められず、片や経営トップ周辺で創業家と密接な関係を有する財団に巨額の寄付がされていた。まったく別の2つの事件も、会社のお金を、誰が、どういう情報と統制の下で動かしていたかというガバナンスの問題として見ると、どこか共通するものがある。


Ⅱ 事実の概要と経緯
 原告の創業家一族は、長期間にわたって原告の経営を担うとともに、多数のファミリー企業を形成していた。原告はこれらの企業に多額の融資を行っており、金融庁からファミリー企業に対する融資残高を圧縮するよう指導を受け、3回にわたり改善計画を策定していた。そのような状況の下、原告は、被告Y5が代表理事を務める一般財団法人b美術館(以下「本件財団法人」という。)に対して、平成25年(2013年)から平成29年(2017年)までの間に合計8回、47億6200万8000円の寄付を行った(以下寄付をした順に「本件寄付1」等といい、併せて「本件各寄付」という。)。
 その寄付金は本件財団法人によるファミリー企業からの美術品・不動産等の購入代金に充てられ、その資金の相当部分がファミリー企業から原告への借入金返済等に用いられた。典型例である本件寄付8では、原告が5億6200万円を寄付した3日後、本件財団法人がファミリー企業2社から不動産等を合計5億6200万円で購入し、同日、当該企業から原告に合計4億円が返済されるなどした。
 原審は、利益相反取引である本件各寄付について、会社法423条3項所定の「損害」が生じたか否かを、当該取引の必要性及び取引条件等が通例的なものであったか否かによって判断し、本件各寄付がCSR目的を有し、合理的な範囲内であるなどとして損害の発生を否定し、同項による任務懈怠の推定を排斥していた※7
 東京高裁の差戻理由は主として共同訴訟参加をめぐる手続上の問題であった。ところが、差戻審では裁判体も変わり、実体判断は大きく転換した※8。本判決が重視したのは、寄付の「看板」よりも「お金の行き先」である。文化・地域振興という目的だけを見るのではなく、寄付金が財団を経由してファミリー企業の資産購入代金となり、さらに借入金返済や経営支援に使われるという経済的実質を検討した。そして、その返済スキームや支援対象企業の状況が取締役会に十分開示されていなかったとして、取締役らの任務懈怠を認めた。CSR案件でも、利益相反が絡むなら「目的が良い」だけでは足りない。誰に、いくら、なぜ支払い、その資金が最終的にどこへ行くのかまで確認しなければならない。


Ⅲ 「社会貢献だから経営判断」で済むのか
 原審は、八幡製鉄事件最高裁判決※9(以下「八幡製鉄事件判決」という。)が示した、会社の規模・経営実績・社会的経済的地位・寄付先等を考慮して「合理的な範囲」の寄付を許容する考え方に依拠し、本件各寄付にはCSR目的があり、その範囲を逸脱しないとして損害そのものを否定していた。
 これに対して、本判決は、同じ八幡製鉄事件判決から出発しながらも、取締役自身や取締役が代表する第三者への寄付には会社を害する危険があることを強調し、CSR目的の有無だけでなく、利益相反と意思決定手続を具体的に審査した。
 被告らは、本件各寄付がCSR目的であり、経営判断として尊重されると主張していた。そのような主張があると、原審のように、それを安易に許容する傾向もあるように見受けられる※10。しかし、「CSR案件」というラベルを貼れば、通常の利益相反管理が緩くなるわけではない。経営判断が尊重されるには、会社利益のための判断であること、必要な情報を集めて検討していること、利益相反が適切に管理されていることが重要である。本件のように、寄付先と創業家との関係や資金の最終的な流れが問題となる場面では、むしろ通常以上に慎重な審査が必要になるのではないだろうか。


Ⅳ 「地域貢献」「文化振興」はどこまで通用するか
 本件で、文化振興や地域貢献そのものを一般的に否定したわけではない。地方銀行が地元の文化施設を支援することは、地域との信頼、ブランド、顧客との関係を通じて中長期的な企業価値につながることもあり得よう。問題は、そこから直ちに「だからこの寄付は合理的だ」と考えてよいかである。本判決が、CSR目的よりも、資金還流の実質と取締役会への情報開示を重視した点は、実務的にも重要な意味がある。
 会社が使うのは経営者個人のお金ではなく会社財産であるから、「社会的に良い」というだけでは足りない。


1.「地域のため」は便利すぎる言葉
 地方銀行にとって地域経済の健全性は事業基盤そのものであり、地域振興への支出には一般企業以上の合理性が認められる場合もあろう。しかし、「地域のため」は便利すぎる言葉である。それだけでは、なぜその相手方なのか、なぜその金額なのか、他の方法ではいけないのかが分からない。社内稟議や取締役会資料では、抽象的な話にとどめず、解決しようとする地域課題、支出と効果のつながり、金額の根拠、実質的受益者まで具体化しなければ、本当に社会に有益であるかどうかは分からない。
 本件では文化振興、美術品の散逸防止、地域貢献等が掲げられていたが、本件財団法人への寄付が、そもそも「社会的責任」の話になるのかは多分に疑問がある。ましてや47億円余という規模になれば、単なる社会貢献活動の延長として扱うには無理があろう。金額が大きく、関係者取引が絡むなら、取締役会には「何のための47億円なのか」を具体的に説明できる資料が必要だ。
 同様の議論として、本件について、静岡県東部における文化的事業への支援を「一種の『町おこしのための拠点づくり』」と評価し、それが本件各寄付のCSR目的に一定の正当化根拠を見出そうとする見解もある※11。しかし、「町おこし」「文化振興」「地域貢献」という名目でも、問題の本質は何も変わらない。社会的な支出だというのであれば、①どういう社会的課題を問題にしているのか、②当該支出がどう課題解決につながるのか、③誰が実質的に受益するのか、④会社の事業・企業価値とどう関係するのか、⑤金額は効果に見合うのかなどを具体的に確認すべきだろう。


2.政治献金との比較
 原審の評釈には、政治献金よりも本件寄付の方が株主利益との関連性を説明しやすいとの指摘もある※12。しかし、八幡製鉄事件判決は、個別の献金によって当該会社に具体的な利益が還元されるという発想に立つものではなかろう。同判決が会社を「社会的実在」と捉えた趣旨は、企業の存立・活動を可能とする当時の資本主義体制という社会的・制度的基盤の維持に向けた点にあったと理解すべきだろう。
 これに対して、美術館への寄付は、通常は企業活動の制度的基盤を維持するための支出ではなく、多数存在する公益的価値の中から特定の文化活動を選択して会社財産を投入する行為である。したがって、問題は政治献金より株主利益との関連性を「説明しやすい」かどうかではなく、なぜ本件財団法人に、当該金額を支出するのかを具体的に説明できるかにある。
 とりわけ47億円余という支出規模と、寄付金がファミリー企業に流れる本件特有の資金構造を踏まえれば、「地元の有名な美術館の充実」「来館者増加」等という一般的説明だけでは、その問いに答えたことにはならない。問われるべきなのは、原告が、本件財団法人に、この規模の寄付をすること自体の社会的意義である。その支出額、資金の流れ、実質的受益者、利益相反を個別に検討しなければならない。


3.CSRは免罪符ではない―SだけでなくGを見る
 八幡製鉄事件判決が、会社も社会的存在として一定の社会的支出をなし得るとした意義は現在も失われていない。しかし、その判旨は、「CSRなら広く許される」というのではない。近時注目されているESGの視点からすれば、S(Social)の目的だけでなく、実質的受益者、利益相反、情報開示、意思決定過程というG(Governance)を同時に見る必要がある。企業実務では、表向きの目的より一歩先へ進み、ステークホルダーとの関係で「その相手に、その金額を支出する理由を説明できるか」を問うべきである。


Ⅴ 取締役会に何を見せるべきか
1.「寄付先・金額・目的」だけでは足りない

 本判決の実務上最も重要な点は、会社法356条1項・365条の承認に際して何を取締役会に開示すべきかを具体化したことである。本判決は、少なくとも、①寄付金が財団を経由してファミリー企業の資産購入代金となり、転貸解消、銀行への返済又は運転資金に使われる返済スキーム、②支援対象となるファミリー企業について、将来の経営改善の見込み、支援の必要性・合理性を開示すべき重要事実とした。
 そして、これらを開示せず、又は開示を求めないまま承認に関与した取締役について、個別に検討して善管注意義務違反・忠実義務違反を認めた※13。つまり、取締役会に「寄付案件」として上程するだけでは足りず、その背後にある経済的実質まで審議対象にしなければならない。これが意味するのは、利益相反取引の判断資料に、相手方、金額、表向きの目的だけを書けば足りるわけではないということだ。資金がその後どこへ流れるのか、最終的に誰が利益を受けるのか、なぜその者を会社が支援する必要があるのかまで、承認の判断にとって重要ならば取締役会に示す必要がある。本判決は、形式的な「承認済み」を作るアリバイ作りではなく、取締役会が実質を理解して判断できる状態を作ることを重視した。


2.会社にお金が戻るなら問題ないのか
 本件で問題となった返済スキームが重要なのは、それを知らなければ取締役会が寄付の経済的実質を把握できないからである。文化・地域振興の寄付に見えても、実際には財団を経由してファミリー企業に資金が流れ、債務返済や経営支援に使われるなら、取締役会が判断すべき案件の性質は変わる。
 「結局、銀行が融資の回収につながるから良いのではないか」という見方もあり得るかもしれない。しかし、原告の融資を、関係会社経由で回収するのであれば、そのように資金が循環して返済されるという経済合理性は別途検証しなければならない。通常の債権回収や企業再生ではなく、なぜその方法を取るのか、銀行から見た全体としての純流出はいくらなのかなどを取締役会で議論すべきであっただろう。


3.創業家案件で「退席」だけでは不十分
 本件の背景には、創業家が長年経営を担い、多数のファミリー企業に銀行が多額の融資をしていたという特殊なガバナンス状況があった。だからこそ、創業家側の利益と銀行の利益を切り分けて判断できる仕組みが重要になる。
 創業家案件では、利害関係のある取締役を決議から退席させれば終わり、とは考えない方がよい。残った取締役が、創業家側の利益と会社利益を切り分けて判断できるだけの情報を持っていることが必要である。本件から読み取れる実務上の教訓は、「人を外す」だけでなく「情報を入れる」ことも重要な利益相反管理だという点にある。


4.47億円全額がそのまま「損害」なのか
 なお、重要事実の不開示という任務懈怠と、寄付額全額が会社の損害になるかは別問題である。本判決が出捐額全額を損害とした点については、理論的には、なお検討の余地がある。違法な意思決定によって支出されたことと、その全額が会社法上の損害になることは必ずしも同じではないからである。
 原審は、会社法423条3項の「損害」を先に検討したが、本判決は重要事実の不開示から任務懈怠を認定し、その後に出捐額全額を損害とした。しかし、会社財産が47億円余減少したことは損害判断の出発点となり得、本件は同項により任務懈怠の推定を働かせる構成も考えられた事案であろう※14


Ⅵ 結びに代えて~企業実務への教訓と共に
 本件は特殊な創業家案件に見えるが、財団への寄付、地域振興、イベントへの協賛、スポンサー契約、関係先の救済等にも通じる話である。法務・コンプライアンス部門が、こうした案件の社内稟議や取締役会資料で最低限確認したいのは、次の7点である。
 ①目的―解決する社会課題は何か。
 ②会社との関連性―なぜ当社が負担するのか。
 ③金額―算定根拠と財務的相当性はあるか。
 ④資金経路―支払後、資金はどこへ流れるか。
 ⑤実質的受益者―最終的に誰が利益を受けるか。
 ⑥利益相反―役員・創業家・主要取引先との関係はないか。
 ⑦代替案と手続―他の手段と比較し、利害関係者を除外した上で必要情報を取締役会に示したか。
 法理論上は、本判決が会社法423条3項による任務懈怠の推定を正面から用いなかった点に疑問が残る※15。ただ、企業実務にとってより重要なのは、利益相反が疑われる社会的支出では、抽象的なCSR効果を並べるだけでなく、上記の事項を事前に検証し、その検討過程を記録に残すことである。
 会社も社会的存在であり、社会に有益な支出をすること自体が悪いわけではない。しかし、「良い目的」はガバナンスを省略する理由にはならない。むしろ社会的意義を強く掲げる案件ほど、会社との関連性、金額、受益者、利益相反、意思決定過程を丁寧に確認する必要がある。
 前回取り上げたシェアハウスローン事件と本件は、同じ時期の同じ銀行で起きていた。両事件を並べて見ると、ガバナンスとは、何かの形や会議体を「置く」ことではなく、経営判断に必要な悪い情報、都合の悪い情報を意思決定者まで届かせる仕組みを実際に機能させることなのだという共通した教訓が浮かび上がるのではなかろうか。



(掲載日 2026年9月15日)

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  • WestlawJapan文献番号2026WLJPCA03136002。
  • 青山学院大学 教員情報(aoyama.ac.jp)
  • 弁護士法人 早稲田大学リーガル・クリニック
  • 静岡地判令和6年4月25日WestlawJapan文献番号2024WLJPCA04256001。
  • 東京高判令和7年3月27日金商1726号16頁、WestlawJapan文献番号2025WLJPCA03276008。
  • 拙稿「内部統制を機能不全にした責任の追及は、これでいいのか?~静岡地裁令和7年10月31日判決~」WLJ判例コラム第377号(文献番号2026WLJCC015)2026年。
  • 原審のこの点についての判断は、会社法423条3項の立証責任の転換の趣旨を没却するものとして批判を受けていた。増田友樹「利益相反のある会社の寄付と取締役の任務懈怠責任〈商事法判例研究〉」金商1703号2頁(2024年)。
  • 高裁判決の判断については、松嶋隆弘「取締役に対する責任追及訴訟と株主の参加に関する諸問題:スルガ銀行(取締役の責任追及訴訟)事件高裁判決を契機として」金商1728号2頁(2025年)も賛成する通り、手続違法の点は高裁判決の指摘する通りであろう。
  • 最大判昭和45年6月24日民集24巻6号625頁、WestlawJapan文献番号1970WLJPCA06240002。
  • 例えば、原審の評釈である尾形祥「一般財団法人に対する寄付に係る銀行取締役の任務懈怠責任〈会社法判例速報〉」ジュリスト1600号2頁(2024年)、山本将成「取締役が代表者を務める一般財団法人への寄付と取締役の責任〈判例セレクトMonthly/商法〉」法学教室529号122頁(2024年)、賴奕成「代表者共通の利益相反寄付と取締役の任務懈怠責任〈商事判例研究3558〉」ジュリスト1609号110頁(2025年)。松嶋・前掲注8、川村・後掲注12等は、いずれも社会的責任として認めたことには特に異論はないか、賛成のようである。
  • 松嶋・前掲注8。
  • 川村佑紀「取締役が代表理事を務める一般財団法人に対する寄付について寄付に係る損害発生及び取締役の任務懈怠責任が認められなかった事例〈税理士のための重要商事判例123〉」月刊税務事例57巻3号61頁(2025年)。
  • 具体的には、①原告の役員であったEは、少なくとも、本件寄付1から6までに係る取締役会の承認決議を得るに当たって、前記の重要な事実を開示すべき注意義務を負っていたというべきであり、それにもかかわらず、これを怠った善管注意義務違反・忠実義務違反の責任を負い、②被告Y5は、少なくとも、本件各寄付に関する稟議を了承し、経営会議で本件寄付1から7までを承認するに当たり、前記の重要な事実を取締役会で開示することを求めた上で承認等をすべき注意義務と、これらの開示がなければ、取締役会における本件各寄付に係る承認決議を阻止すべき注意義務を負っていたというべきである。それにもかかわらず、これらの注意義務を怠った善管注意義務違反・忠実義務違反の過失があり、③承継前被告Y6及び被告Y8は、少なくとも、本件各寄付に関する稟議を了承し、取締役会で本件各寄付を承認するに当たり、前記の重要な事実について取締役会で開示を求めた上で承認すべき注意義務と、この開示がなければ取締役会での承認決議を阻止すべき注意義務を負っていたというべきであるにもかかわらず、これらの注意義務を怠った善管注意義務違反・忠実義務違反の過失があると結論付けた。
  • 会社に具体的に帰属した利益がある場合ならば、損害額の評価で考慮され得る。ただ、本件ではそうした事情は見出し難いので、本判決の結論自体には賛成である。
  • 会社法423条3項を適用して本件を処理した場合には、同項によって任務懈怠が推定されるため、同法356条・365条所定の重要事実の不開示の検討は、被告らの責任を認めるためには不要となる。ただ、そのことは、本判決の重要事実に関する判示の意義を失わせるものではない。本判決が、利益相反取引の承認において取締役が事前に遵守すべき行為規範を具体化し、取引の実質を取締役会に開示しなければならないことを示した点は、予防法務上重要な意義を有する。また、同項による任務懈怠の推定に対し、取締役側が当該取引は会社利益のための合理的判断であったとして反証しようとする場合、承認の前提となる重要事実が取締役会に開示されていなかったことは、その反証を困難にする事情になると考えられよう。




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