判例コラム

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第365号 コンテンツ・デリバリー・ネットワークサービス(CDNサービス)を提供する事業者が、出版社に対して漫画村運営者の著作権侵害行為の幇助を理由に損害賠償を命じられた事案(クラウドフレア事件)  

~東京地裁令和7年11月19日判決※1


文献番号 2026WLJCC003
桃尾・松尾・難波法律事務所 パートナー弁護士※2
松尾 剛行


Ⅰ はじめに
 本件は、いわゆる漫画村事件に関し、出版社である原告らが出版権を有する漫画(以下「本件コンテンツ」という。)につき、海賊版を提供するウェブサイトである漫画村のウェブサイトから配信された際に被告の提供するコンテンツ・デリバリー・ネットワークサービス(以下「CDNサービス」という。)が利用されたところ、それが、海賊版サイト運営者に対する幇助の不法行為(民法719条2項)に当たるとして、CDNサービス提供者たる被告に対し、原告3社につき1億2650万円、1社につき1億2140万0928円及びそれぞれに対する遅延損害金の賠償を認めたものである。
 以下では、本判決の概要を紹介した上で、プラットフォームがプラットフォーム上の利用者の行為について第三者に責任を負う要件にフォーカスして簡単にコメントしたい※3


Ⅱ 事案の概要と判決要旨
1.事案の概要

 本件ではCDNサービスが問題となった。本判決によれば、CDNサービスは、インターネット上にキャッシュサーバを分散配置し、エンドユーザに近い経路にあるキャッシュサーバから、画像や動画等のウェブコンテンツのキャッシュデータをオリジナルのウェブサーバ(以下「オリジンサーバ」という。)に代わって配信する仕組みとされている(前提事実)。
 多くの人がデータを同時にダウンロードする際に、同じサーバからダウンロードしようとするとそのサーバに過度に負荷がかかってしまう。CDNサービスは、多くのサーバ(元データのコピー(キャッシュ)を保存するサーバなので「キャッシュサーバ」と呼ばれる。)を利用することで、同じコンテンツを多数のユーザに配信するサービスである(なお、被告の提供するCDNサービスを以下「被告サービス」という。)。なお、ユーザが送信を要求した場合、被告のキャッシュサーバ(以下「被告サーバ」という。)に、既にコンテンツデータ(以下「本件キャッシュデータ」という。)が記録されているか否かによって、被告が行う対応が異なる。既にコンテンツが記録されている場合(以下「キャッシュ型配信」という。)には、被告サーバは、ユーザからの送信の要求に応じ、本件キャッシュデータを自動的に送信する。これに対し、被告サーバにまだ本件キャッシュデータが記録されていない場合(以下「ホスト型配信」という。)には、被告サーバは、海賊版サイトの元データが保管されているサーバ(オリジンサーバ。以下「本件オリジンサーバ」という。)に記録されている本件コンテンツの送信を要求し、本件コンテンツが、本件オリジンサーバから被告サーバに対して自動的に送信され、被告サーバから、ユーザへ本件コンテンツが自動的に送信される(以下、ホスト型配信とキャッシュ型配信を「本件コンテンツの配信」と総称する。)。
 そして、被告によるこのような本件コンテンツの配信について、原告らはこれを主位的には被告自身による自動公衆送信行為という著作権侵害の不法行為に当たるとして民法709条を理由に損害賠償を求めた。そして、予備的には、仮に被告ではなく海賊版サイト運営者が自動公衆送信行為の主体であっても、被告はこれを幇助(民法719条2項)したと主張した。なお、損害額としては、主位的請求・予備的請求いずれも、各社1億2650万円ずつとそれぞれに対する遅延損害金の賠償を求めた。


2.判決要旨
 裁判所は、原告3社につき1億2650万円、1社につき1億2140万0928円及びそれぞれに対する遅延損害金の賠償を認め、満額の賠償が認められなかった1社につきその余の請求を棄却した。
 本件では、国際裁判管轄権の有無(結論として国際裁判管轄権肯定)や、著作権法上の権利制限規定(電子計算機における著作物の利用に付随する利用(著作権法47条の4第1項2号又は同項柱書)、結論として権利制限規定適用否定)、損害論(結論として上記の賠償を認める)等も重要であるが、評釈で取り上げる論点との関係で省略する。よって、判決本文を参照されたい。
 まず、主位的請求、すなわち自動公衆送信の主体が被告であるか、それとも海賊版サイト運営者であるかが問題となった。裁判所は、まねきTV事件(最三小判平成23年1月18日)※4を参照して、「自動公衆送信が、装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置の使用を前提としていることに鑑みると、その主体は、当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当である。そして、当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており、これに継続的に情報が入力されている場合には、当該装置に情報を入力する者が送信の主体であり、また、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している当該装置の公衆送信用記録媒体に情報が記録されている場合には、当該記録媒体に情報を記録する者が送信の主体である」とした。そして、本件では、被告サーバを用いて行われる自動送信は、公衆によって直接受信されることを目的とするものであり、被告サーバは自動公衆送信装置に当たるとした(著作権法2条1項9号の5)。そこで、ホスト型配信においては被告サーバへの入力をする者、キャッシュ型配信においては被告サーバの記録媒体に記録をする者が、自動公衆送信の主体であるとした上で、いずれの場合においてもそれは海賊版サイト運営者だとした※5。その結果、主位的請求は否定され、予備的請求が問題となった。
 その上で、いわゆるプロバイダの免責(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(情報流通プラットフォーム対処法。以下「情プラ法」という。)3条1項柱書本文)を受けられるかについては、①被告が当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があり(2号要件)、②被告が送信防止措置を講ずることが技術的に可能である(柱書要件)場合には、被告による出版権侵害行為の幇助を理由とした損害賠償責任は制限されないとした※6。まず、①については、コンテンツのタイトル欄に無料の海賊版であることを示す「Raw-Free」という記載があり、各頁に海賊版ウェブサイトのドメイン名の透かしが挿入されていて、さらに、同ページを起点とすれば、本件コンテンツを含む多数(4000タイトル以上)のコンテンツが全て無料で配信され、全てのコンテンツについて「Raw-Free」の記載やドメイン名の透かしが挿入されていることを読み取ることができたとした上で、通常、これほど多数のタイトルの漫画の複製データが全てのエンドユーザに対して無料で配信されることは考え難いから、上記記載や透かしと相まって、漫画村のウェブサイトがいわゆる海賊版サイトであることは一見して明らかであり、「当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があった」として2号要件を肯定した。また、②については、特定電気通信による情報の流通による権利の侵害を防止するために必要な限度において、関係役務提供者が当該措置を講ずることが技術的に可能な送信防止措置が同条柱書きにいう「送信停止措置」であるところ、本件コンテンツ以外のコンテンツの配信は本件コンテンツの配信による出版権の侵害を助長するものであり、それらのコンテンツについて被告サービスを通じた配信を停止することになったとしても、まったく無関係な情報の配信を停止するものとまではいえないことから、被告サービスの提供の停止は、ホスト型配信及びキャッシュ型配信による原告らの出版権の侵害を防止するために必要な限度の措置であったというべきであり、「技術的に可能」であるとした。
 これを前提に、予備的請求については、海賊版サイトのアクセス数は最大で月間合計3億回を超え、被告サービスにより、多くの配信を効率的に行うことができた反面、被告が本人確認を行わなかったと推認されるところ、強度な匿名性が確保された状況下でこのような効率的配信がされたとして、漫画村のウェブサイトについて被告サービスを提供することにより、海賊版サイト運営者による原告らの出版権の侵害を容易にしたということができ、これは、海賊版サイト運営者による原告らの出版権の侵害の幇助行為に当たるといえると認定した。なお、原告らからの通知の受領※7により前記の(情プラ法3条1項の)「2号要件」が満たされるところ、その時点から1か月を経過した時点で、被告サービスの提供を停止することができ、(情プラ法3条1項の)「柱書要件」が満たされたと認められるから、同時点で被告サービスの提供を停止する義務を負うとしている。


Ⅲ 評釈-プラットフォームの民事責任の文脈で
1.はじめに

 プラットフォームの民事責任はさまざまな形で争われてきた。もっともその中では、プラットフォーム事業者自身の行為の責任が争われたものが多い。筆者が関与した代表的なものに、VTuberを代理して、国際動画プラットフォームとの間で不当なスパム認定取下げを求めて東京地方裁判所で戦い、勝利した事案がある※8。その他にも、プラットフォームサービスの会員資格取消処分や利用停止処分等が問題となる事件が存在する※9。しかし、これらはプラットフォーム事業者自身の行為である。以下では、プラットフォームの利用者の行為を理由に、プラットフォーム事業者の責任を追及したもののうち、いわゆる名誉毀損等の人格権侵害を除くものを検討する※10。さらに、他の参加者の行為が詐欺等の違法行為であるものを検討する※11。なお、各判決名の末尾の〇は原告勝訴(プラットフォーム敗訴)、×は原告敗訴(プラットフォーム勝訴)である※12


2.【1】オークションプラットフォームカメラ事件(神戸地姫路支判平成17年8月9日)※13×
 ネットオークションプラットフォームを通じて販売者(訴外A)からカメラを購入した原告が、訴外Aがそのカメラを引き渡さず、損害を被ったとして、被告であるプラットフォーム事業者に対して行った損害賠償請求が否定された。
 裁判所は、「被告が、個々の商品や情報を選別・調査・管理せず、どのような利用者が参加しているかも選別・調査・管理しないことや、被告が、利用者間に成立した売買について、解除・解約等に一切関与せず、利用者が全て責任を負い、被告は入札者又は出品者としての責任、権利及び権限を一切有さないこと、被告の重過失又は故意に起因する場合を除き、出品、入札、完了した若しくは完了していない取引又は出品された若しくは実際に売られた商品に関するいかなるクレーム・請求・損害賠償等から免責される」という趣旨のガイドラインに原告が同意しているとして、当該ガイドラインに拘束力があるとした。その上で、被告は、原告に対し、本件取引について、訴外Aの信用度を調査したり、訴外AのIDを削除したりするなどの義務を負うものとは認められないし、原告の損害が、被告の故意又は重過失によるものとも認められないとした。
 なお、最初期の裁判例であることもあって、プラットフォーム事業者の主張する「プラットフォームはあくまでも場を提供するに過ぎない」という主張を裁判所は受け入れているようである。そこで、「被告は、本件オークションを運営することによって、参加者の商品売買の機会等を提供する場を設定しているものに過ぎず、利用者は、各自の責任と負担に置いてオークションに参加することが前提となっていると認められるのであり、本件オークションを利用しようとする者としては、このようなリスクを負担したくなければ、本件オークションに参加しなければすむのであるから、それにもかかわらず、これに参加した者は、その自由意思で上記リスクを負担したというべき」といった判断がされているが、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(透明化法)や取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(取引DPF法)等が制定され、プラットフォーム事業者の責任が問われる今日の目から見ると疑問である。


3.【2】オークションプラットフォーム集団訴訟事件(名古屋地判平成20年3月28日・名古屋高判平成20年11月11日)※14×
 ネットオークションプラットフォームを通じて商品を落札し、その代金を支払ったにもかかわらず、商品の提供を受けられないという詐欺被害にあった原告らが、被告であるプラットフォーム事業者に対して行った損害賠償請求が否定された。
 第一審は、結論としては原告の請求を棄却したものの、被告が利用するガイドラインにおいて被告は利用者間の取引のきっかけを提供するに過ぎない旨が明記されているのだから、被告には利用者間の取引について一切責任を負わないという被告の主張は否定している。その上で、裁判所は、「信義則上、被告は原告らを含む利用者に対して、欠陥のないシステムを構築して本件サービスを提供すべき義務を負っているというべきである」とした。では、具体的に何が欠陥のないシステムなのだろうか。裁判所は、「被告が負う欠陥のないシステムを構築して本件サービスを提供すべき義務の具体的内容は、そのサービス提供当時におけるインターネットオークションを巡る社会情勢、関連法規、システムの技術水準、システムの構築及び維持管理に要する費用、システム導入による効果、システム利用者の利便性等を総合考慮して判断されるべきである。」とし、オークションサービスを用いた詐欺等犯罪的行為が発生していた状況の下では、利用者が詐欺等の被害に遭わないように、犯罪的行為の内容・手口や件数等を踏まえ、利用者に対して、時宜に即して、相応の注意喚起の措置をとるべき義務があったというべきであるとした。かかる義務を設定した上で、被告の具体的な注意喚起の状況等を踏まえ、被告は当該義務を尽くしていたとして、被告の義務違反を否定した。
 なお、控訴審は、一部加筆した他は基本的に第一審判決を引用した上で、プラットフォーム事業者が民事仲立人やそれに類する立場として責任を負うものではないとした。


4.【3】オンラインモール商標権侵害事件(東京地判平成22年8月31日・知財高判平成24年2月14日)※15×
 オンラインモールを運営するプラットフォーム事業者である被告に対し、当該モールに出店する出店者が、原告が商標権を有する標章を利用しているとして、商標権者である原告が、商標権侵害等を理由として行った差止め請求と損害賠償請求が否定された。
 第一審は被告の関与(行為)は、商標法2条3項2号の「譲渡のための展示」又は「譲渡」に該当するものと認めることはできないとして原告の請求を棄却した。
 控訴審は、「ウェブページの運営者が、単に出店者によるウェブページの開設のための環境等を整備するにとどまらず、運営システムの提供・出店者からの出店申込みの許否・出店者へのサービスの一時停止や出店停止等の管理・支配を行い、出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けている者であって、その者が出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは、その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされない限り、上記期間経過後から商標権者はウェブページの運営者に対し、商標権侵害を理由に、出店者に対するのと同様の差止請求と損害賠償請求をすることができると解するのが相当」とした。その際には①オンラインモールは社会的に有益で、多くは商標権侵害をしていない、②出店者が商標権者から許諾を受けていることもあり得る、③その中で、被告が第三者の商標権を侵害するものであることを具体的に認識、認容するに至ったときは幇助犯となり得る、④被告は出店料やシステム利用料という営業上の利益を得ている、⑤商標権侵害行為の存在を認識できたときは、出店者との契約により、コンテンツの削除、出店停止等の結果回避措置を執ることができるという5点を指摘した。その上で、本件では、被告としては、商標権侵害の事実を知ったときから8日以内という合理的期間内にこれを是正したと認めるのが相当であるとして被告の責任を否定した※16


5.【4】ブログサービスプラットフォーム事件(東京地判令和3年7月16日)※17×
 ブログサービスプラットフォームを運営し、有料ブログの販売を可能としている被告について、原告が被告のプラットフォーム上でクリエイターBから購入した有料ブログ記事(本件記事)が代金1320円だったのに、有料部分の内容が「ちんこ。」という4文字のみであったとして行った損害賠償請求が棄却された。
 裁判所は、規約においてクリエイターとユーザー(原告)との間に直接の契約が成立すると明記されているとおり、被告は、配信記事の売買に関する契約の当事者ではないのであるから、原則として被告はトラブルについて責任を負わないというのが相当であるとした。その上で、確かに、近年のデジタルコンテンツ等を巡る実情に照らすと、被告のようなプラットフォーマーが信義則上利用者に対し責任を負うことがあり得ることは、一概には否定できないところであるが、本件において、被告が本件記事の売買契約に実質的に関与していたとか、本件記事が犯罪行為に利用されていることを知り得たなど、被告において信義則上の責任を負うべき特別な事情があったと認めることはできないとした。そこで、被告において、本件記事に関し、原告が主張するようなコンテンツの最低限の審査・調査確認を行う義務や事後的にも適切な対応をする義務を負っていて、それに違反した場合には、債務不履行責任や不法行為責任を負うこととなると認めることはできないとした。
 また、原告は、本件記事の有料部分を購入させることが、Bによる欺罔行為であるとした上で、被告は、個人のいかなるコンテンツ販売も容認することによって、利益を最大限に享受してきたのであるから、Bの違法行為の幇助者として、共同不法行為の責任を負うとも主張したが、仮にBの行為に違法行為があったとしても、被告において、それを認識し、共同の不法行為を行ったと評価することができるような事情があったと認めるに足りる証拠はなく、被告がBから手数料を得ていたことをもって、共同不法行為責任を負うものではないとした。なお、本件記事の有料部分が4文字しかなく、意味ある内容を伴うものではないことは明らかであるが、無料記事の末尾に「この続き:4文字」と記載されていることに照らすと、本件記事の有料部分の購入を勧誘した行為が詐欺行為に当たると評価することもできないとした。
 本件において、被告が本件記事の売買契約に実質的に関与していたとか、本件記事が犯罪行為に利用されているとか、Bの違法行為を被告が認識し、共同の不法行為を行ったと評価することができるような事情があったと認めるに足りる事情があれば別の判断となり得たが、そのような事情は具体的状況の下において認められないとされた。結局のところ無料部分の末尾に「この続き:4文字」として、有料記事に4文字しか記載されていないことは明らかだったのだから、原告がそれを知った上で支払を行なった以上、(Bとの関係はともかく、)プラットフォーム事業者である被告に責任はないとしたのだろう。


6.【5】ギフト券売買仲介プラットフォーム事件(東京地判令和3年11月30日)※18×
 被告がギフト券売買仲介プラットフォームを運営していたところ、原告が被告のプラットフォーム上で販売されていたギフト券を購入した。その後、原告がギフト券を利用しようとしたところ、ギフト券が無効となったため、被告に対して行なった損害賠償請求が否定された。
 原告は説明義務違反を主張したが、被告は、購入ページ等において売買成立後に発行元よりギフト券の使用を禁止されるケースが全体の約0.26%発生しております、発行元の制限により使用を禁止された場合、当社では一切の責任を負うことができませんなどと表示しており、説明義務は尽くされたとした。
 ここで、被告のギフト券売買仲介プラットフォームは、ギフト券の利用規約において転売が禁止されている未承認の販売サイトである。しかし、それをもって、直ちに当該プラットフォームを利用して購入したギフト券が原則として無効となるものとは認められず、被告が販売手数料の徴収により利益を得ていることや、被告が取引の相手方に関する情報を原告に公開しないこと等の原告の主張する事情によっても、被告が原告の主張する説明義務を怠ったものとは認められないとした。
 本件では、取引の相手方を明らかにしない匿名取引を可能とするプラットフォームであること、及びギフト券の規約からするとこのような転売が違法な可能性があったこと等、被告の責任が認められるべき要素があった。しかし、ギフト券の使用が禁止されるのが被告の説明によれば約0.26%とわずかで、原告もギフト券を200点以上購入していたが、問題のギフト券以外は無効とされていないということで、事実上ほぼ安全な取引が実現しており、無効となるのは例外的な事案に過ぎなかった、というのがこのような判断の要素となっていたと思われる。


7.【6】国際ECプラットフォームバッテリー発火事件(東京地判令和4年4月15日)※19×
 原告が、国際ECプラットフォーム事業者である被告の運営するプラットフォーム上で充電式モバイルバッテリーを購入したところ、上記バッテリーが発火し原告に損害が生じたとして行なった損害賠償請求が否定された事案である。
 原告は、債務不履行、不法行為、及び、名板貸しを主張したが、債務不履行については、原告が主張する出店・出品審査義務や保険・補償制度構築義務等を認めることができないとして、これを否定した。不法行為については、出品者の特商法表示に関し、原告は、消費者が問合せ可能な適切な表示を維持・把握する体制を構築する義務を主張したが、連絡先として電話番号が記載され、連絡用のフォームも用意されていて、現に、原告は当該フォームを利用して出品者と連絡を取り、和解を成立させているとしてこれを否定した。なお、名板貸し責任については、売買契約の時点で、原告としてバッテリーの販売者を被告と誤認していたことを認めるに足りる証拠がなく、かえって、販売者が出品者であることを当初から認識していたことがうかがえるというべきとしてこれを否定した。
 本件では、バッテリーの出品者である中国企業が原告に対して184万0632円を支払って和解している事実が認定されており、ある意味では、ある程度の補償がされていると評価され、それが責任追及否定という結論に影響した可能性がある。


8.【7】ハンドメイド作品売買仲介プラットフォーム販売者事件(東京地判令和4年7月28日)※20×
 原告が被告の運営するハンドメイド作品売買仲介プラットフォーム上で寄木細工のウクレレを販売したところ、当該注文がクレジットカードの不正利用による注文であったことが判明し、上記商品を発送したにもかかわらず、商品代金を受け取れなくなったとして行った損害賠償請求が否定された。
 まず、原告は被告にセキュリティの脆弱性に対応すべき義務があったと主張するが、具体的にどのような義務があったと主張するのか判然としないとし、また、利用規約においては、代金の受取りは出品者の責任とされており、かつ、出品者は、発送時期を任意に設定することができるものと解されるのであるから、出品者と購入者との間で売買契約が成立してから、どの段階で商品を発送するかは、代金の回収リスクとの兼ね合いで、原告である出品者が選択すべきものであるとして、被告にクレジットカードの不正利用がされていないことを確認してから商品の発送通知をすべき義務があったものとは認められないとした。
 そして、原告は被告にセキュリティの脆弱性に対応すべき義務や本人確認義務があったと主張するが、被告は第三者の決済代行サービスを利用しているところ、同社は決済代行サービスを提供するために必要な許認可を取得しており、被告にセキュリティの脆弱性があるとはいえず、被告自身において、独自に、購入者の本人確認をすべき義務があったと認めることはできないものというべきであるとした。
 この事案は、消費者保護というよりは、販売事業者である原告が商品代金受取り前に発送をしたことで受容したリスクが現実化したと見做された可能性がある。


9.【8】クラウドソーシングプラットフォーム事件(東京地判令和4年8月30日)※21×
 クラウドソーシングプラットフォームを運営する被告の会員であった原告(ワーカー)が、仕事を完成したにもかかわらず、クライアントがクレジットカードの不正利用をしたとして報酬を支払われなかったとして被告に対して行った、報酬請求や損害賠償請求が否定された。
 裁判所は、被告には報酬支払の代行義務があり、また原則として不正利用を原告に対抗できないとした。しかし、例外として、報酬の実質的な趣旨が専らワーカーによる仕事及びその成果物以外の対価であるといった特段の事情が認められる場合には、クレジットカードの不正利用の発覚に伴う権利関係の変動について、ワーカー(原告)に対抗できるとした。本件では、原告が行った仕事の内容がギフトカードを購入することであるという特殊性に鑑み、その例外事由に該当するとして報酬支払義務はないとした。
 また、仕事をしたのに報酬を得られないというトラブルを予防するため、報酬を預託しないクライアントが案件を登録できない仕様にすべき契約上の義務については、被告がクレジットカード会社に対する決済代金の支払請求権をもって報酬相当額の預託を認めているところ、クライアントによるクレジットカードの不正利用が発覚した案件について、ワーカーが被告から報酬を受領し得るか否かは、クレジットカードの不正利用の場合に被告が決済代金の支払請求権の喪失を対抗できるか否かという利用規約等に基づく契約関係の解釈に関する問題であると解されるから、プラットフォームのシステムに関するものとはいえないとして、システム構築義務違反による債務不履行に基づく損害賠償請求は理由がないとした。
 本件は、海外にいるので日本でギフトカードを購入して欲しいという事実上国際送金規制の潜脱等を内容とすることがうかがわれる案件を受託したワーカーである原告についての特殊な事案であり、このような特殊性に鑑みた判断がされたといえる。


10.【9】ソーシャルレンディングプラットフォーム事件(東京地判令和5年2月27日)※22×
 被告がソーシャルレンディングといわれる、インターネットを用いてファンドの募集を行い、投資家からの出資を、ファンド業者を通じて企業等に貸し付ける仕組みを仲介するプラットフォーム事業を行なっていたところ、原告が被告のプラットフォーム上で出資をしたが、それが焦げ付いたことから被告に対して行った損害賠償請求が否定された。
 さまざまな主張のうち、プラットフォーム事業者の責任として、名板貸し責任が主張された。裁判所は以下のように述べて被告の責任を否定した。すなわち、「本件各ファンドの組成についてY1及びCが主導的役割を果たしたものであり、また、本件各募集は本件サイト上で行われたものであるが、本件各ファンドの募集ページ上、本件各ファンドの営業者はG社(筆者仮名)である旨が明確に表示されており、原告はこれを閲覧していたこと、本件出資に先立って原告に交付された契約締結前交付書面においてもその旨は明示されていたことがそれぞれ認められる。また、匿名投資組合に対する投資商品について、その募集を扱うプラットフォーム事業者と営業者が同一主体であると一般的に誤認されるとは考えにくく、本件各ファンドについて特にそのような事情があったことを認めるに足りる証拠もない」、被告がプラットフォーム事業者として本件サイトにおいて本件各募集を行い、G社のためのシステムを提供し、G社から手数料を受領していたとしても、それによって、被告が営業者として表示されているものともいえないとして、本件各ファンドの営業者について、被告の商号が使用されていたとは認められないから、会社法9条の名板貸し責任の適用やその類推適用の基礎を認めることはできないとして、被告が会社法9条又はプラットフォーム事業者としての責任を負うとの原告の主張は採用できないとした。
 投資組合に対する投資商品の営業者と募集を扱うプラットフォーム事業者について同一主体と認識されるかという観点から、会社法9条の名板貸し責任を否定している。


11.【10】国際ECプラットフォーム相乗り出品事件(東京地判令和7年4月25日)※23
 原告が、被告の運営する国際ECプラットフォームに医療機器であるパルスオキシメーターを出品していたところ、被告は相乗り出品として、第三者が「同一商品」と称する商品を同じページ上で販売した。ところが第三者の商品は偽造品であった。同じページにおいて、より安い偽造品が掲載されたため、消費者は偽造品を購入し、原告の商品を購入しなくなり、また、被告は原告の商品ページを削除した。原告は被告の債務不履行責任を主張し、一部が認容された。
 債務不履行の内容として被告のさまざまな義務が主張されたが、少なくとも一部の違反が認められたものとしては、「相乗り出品者が相乗り出品した商品と商品詳細ページの商品とが同一でないことを知り又は知ったと認められる相当の理由があった場合、合理的期間内に当該偽造品を削除する義務」と「合理的な理由なく出品を削除しない義務」があった。とはいえ、免責条項の適用の結果として、「相乗り出品者が相乗り出品した商品と商品詳細ページの商品とが同一でないことを知り又は知ったと認められる相当の理由があった場合、合理的期間内に当該偽造品を削除する義務」の全てと、「合理的な理由なく出品を削除しない義務」の一部は免責されるとされた。そこで、「合理的な理由なく出品を削除しない義務」の残部に関する損害賠償3500万円が認容された。
 他の事案と異なりプラットフォーム事業者が敗訴しているが(控訴審係属中)、特に「合理的な理由なく出品を削除しない義務」でかつ免責がされない(故意又は少なくとも重過失があるとされた)ものに関する限り第一審判決では、「原告X1社から異なる商品が相乗り商品として出品されている旨の申告を受け、異なる商品の削除を求められたにもかかわらず、異なる商品が相乗り出品されているか否かについて調査を行うことなく、本件商品の商品詳細ページ全体を削除し、かつ、原告X1社からの追加説明や抗議を受けた後も、その申告に不備があるとして、それ以上の対応を行うことなく、削除商品②の削除を維持した」との事実が認定されており、このような事実関係の特殊性がこの結論に影響していると理解される。このような、免責されず、損害賠償が認められた範囲だけに限定すれば、相乗り出品者(偽造品業者)の行為に関するプラットフォーム事業者の責任というよりはプラットフォーム事業者自身の行為について責任を認めた事案と評すべきかもしれない。


12.検討
(1)プラットフォームが責任を負う可能性自体は認められていたこと

 電子商取引及び情報財取引等に関する準則※24Ⅰ-7はアプリマーケット運営事業者の利用者の行為に関する責任として名板貸し責任、付随義務、不法行為等の可能性が示されている。
 そして、プラットフォームの責任について否定してきた多くの裁判例も、その一部の例外(例えば【1】)を除き、プラットフォーム事業者がおよそ責任を負わない、という趣旨ではなく、一定の責任を負うとしている。
 例えば、「欠陥のないシステムを構築して本件サービスを提供すべき義務」(【2】)や、「出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったとき」の合理的期間内の削除義務(【3】)、幇助の要件を満たした場合の責任(【4】)、名板貸しの要件を満たした場合の責任(【6】、【9】)等が示唆されている。
 もっとも、【10】以外は責任が否定されており、かつ、【10】のうちの損害賠償が認められた範囲だけに限定すれば、利用者の行為に関する責任ではない。


(2)本件の特殊性
 その中で、本判決では現にプラットフォーム事業者の利用者の行為に関する幇助責任が認められている。この点は、他の事例と異なり、①主犯者の行為の悪質性、②主犯者の行為が海賊版サイトの運営であることが外見からも明らかであること、③被告の行為の果たした役割が大きいこと、及び、④主犯者の匿名性強化に一役買ったことが重要であろう。
 ①についてみると、政府全体として対策を講じているような悪質な海賊版事件であり、まさにそのような対策の必要性という認識を裁判所も共有していたといえる。
 ②についてみると、もし海賊版サイトが、例えば「1巻から5巻までは無料、それ以降は有料」等としている正規サイト(無料から始めて課金を獲得しようとするいわゆる「フリーミアム」ビジネスモデルのサイト)と区別がつかない外観であれば、原告らの権利侵害という主張の正当性について、慎重な判断が必要となる※25。しかし、本判決は、漫画村のウェブサイトにおいては、コンテンツのタイトル欄に無料の海賊版であることを示す「Raw-Free」という記載があり、各ページに海賊版ウェブサイトのドメイン名の透かしが挿入されており、同ページを起点とすれば、本件コンテンツを含む多数(4000タイトル以上)のコンテンツが全て無料で配信され、全てのコンテンツについて「Raw-Free」の記載やドメイン名の透かしが挿入されていることを読み取ることができたと認定している。このようなサイトの状況から正規サイトと明らかに区別できたことが被告の義務が加重される原因となったのだろう。
 ③についてみると、大量のコンテンツを大量のユーザに配信するというのは容易なことではないところ、本件で認定された95%以上のキャッシュヒット率からは、被告の提供したCDNサービスがサーバの処理負荷を分散させ、本件オリジンサーバでは到底処理できないアクセス要求に対し、被告サーバを利用して応えるなど、非常に重要な役割を果たしたといえる。このような被告の役割の重要性も加味されたのではないか。
 ④そして、被告はすぐに原告らが海賊版サイト運営者に責任を追及できないよう、本人確認をせず、匿名性強化に一役買った。それが、原告らとして海賊版サイト運営者を迅速に突き止め、その責任を追及できなくなった原因の1つだ、という部分も、被告の責任が重く評価された一因であろう。
 その上で、被告は、DMCA通知(前掲注7参照)を受けた後、迅速にCDNサービス提供を停止せず、その結果として、(過失による)幇助行為を行ったと評価された※26
 ここで、なぜ被告が原告らからの通知の受領後もCDNサービスの提供を継続したのかというと、原告らだけでは4000タイトル以上のコンテンツ全ての出版権を持っていないところ、被告として、海賊版サイト全体に対するサービス提供停止はできても、原告らの権利を持つタイトル(本件コンテンツ)に関してだけサービス提供を停止することはできず、原告らのサービス停止要求に応じると過剰なサービス停止になる、という判断があったと思われる※27。ただ、裁判所は上記のとおり「本件コンテンツ以外のコンテンツの配信は本件コンテンツの配信による出版権の侵害を助長するものであり、それらのコンテンツについて被告サービスを通じた配信を停止することになったとしても、まったく無関係な情報の配信を停止するものとまではいえない。」と判示したのに加え、「被告サービスの提供が停止されれば、本件各ウェブサイト(筆者注:海族版サイトのこと。以下同じ。)からの被告サービスを通じた情報の送信は、その内容を問わず、将来にわたってできなくなる。しかし、本件運営者(筆者注:海族版サイト運営者のこと。以下同じ。)は、本件各ウェブサイトについて、引き続き、本件オリジンサーバからコンテンツの配信をすることは妨げられない(弁論の全趣旨)から、本件運営者の表現の自由を不当に制限するものであるとはいえない。」と判示しているように、このような被告の主張を本件の具体的事情の下では受け入れなかったと理解される。


(3)実務への影響
 国際ECプラットフォーム相乗り出品事件(【10】)等でプラットフォーム事業者の責任が肯定される事例が出始めたところで、本判決も下されていることから、プラットフォーム事業者の責任が俄かに注目されるところである。もっとも、本判決が幇助を認めた理由としては本件の特殊性があり、単にプラットフォームを利用して利用者による違法行為が行われたというだけで、直ちにプラットフォーム事業者が幇助(民法719条2項)責任を負うとまでは判断されていない。客観的な幇助行為の認定のためにはプラスアルファが必要であり、また、故意・過失も必要であるところ、本件では結果的にその客観面・主観面双方が満たされた事案と評価することができるだろう。その意味で、直ちに実務への影響はないものの、プラットフォーム事業者としては本判決を含むがそれに限られない裁判例を踏まえ、利用者からの通知等に対して真摯に対応する必要性が更に高まったといえるだろう。



(掲載日 2026年2月10日)

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  • WestlawJapan文献番号2025WLJPCA11199001。
  • 桃尾・松尾・難波法律事務所(https://www.mmn-law.gr.jp/lawyers/600050.html)。
  • なお、本事案に関し、筆者は海賊版サイト運営者に対する損害賠償を認めた判決について判例コラムを書いている(拙稿「漫画村事件―著作物無償公開時の損害論にフォーカスして―~東京地裁令和6年4月18日判決~」WLJ判例コラム第330号(文献番号2024WLJCC024)(2024年))。
  • 最三小判平成23年1月18日民集65巻1号121頁WestlawJapan文献番号2011WLJPCA01189001。
  • この点は、いわゆる「侵害主体論」について、更に規範的な検討を進めるべきではなかったか、という論点はあるものの、本稿では詳論しない。
  • 情プラ法3条1項は「特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。
    一 当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。
    二 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。」と規定する。類似(仮想)事例に関する先行研究として丸橋透「プロバイダ責任制限法」ジュリスト1573号78頁(2022年)参照。
  • 米国デジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act, DMCA)に基づく通知。
  • 拙稿「プラットフォームによるアカウント凍結等に対する私法上の救済について」情報法制研究10巻66頁https://www.jstage.jst.go.jp/article/alis/10/0/10_66/_article/-char/ja/(2021年)。
  • 知財高判令和7年10月30日WestlawJapan文献番号2025WLJPCA10309004、東京地判令和5年12月13日WestlawJapan文献番号2023WLJPCA12138017、東京地判令和5年3月24日WestlawJapan文献番号2023WLJPCA03248015、東京地判令和4年6月7日WestlawJapan文献番号2022WLJPCA06078011等。
  • インターネット上の名誉毀損につき松尾剛行=山田悠一郎『最新判例に見るインターネット上の名誉毀損の理論と実務〔第2版〕』勁草書房(2019年)を参照。
  • そこで、東京地判令和5年8月16日WestlawJapan文献番号2023WLJPCA08168001(鍵解錠業者のプラットフォームである被告につき、鍵解錠業者である相被告が暴言を吐いたなどとして損害賠償請求をしたが相被告の責任を否定)や東京地判令和元年9月5日WestlawJapan文献番号2019WLJPCA09058011(被告の運営するホテル予約サイトに宿泊者である原告が静かな部屋というスペシャルリクエストを伝えたところ、工事中であったことは認められるが、「静か」かという点について立証なしとする。但し当該サイト運営に関する義務違反がないことも確認的に認定)等は除外される。
  • 本稿で取り上げないものに、出会い系サイトの利用代金の決済代行を業として行った会社の責任が否定された東京地判平成27年6月25日判時2280号104頁WestlawJapan文献番号2015WLJPCA06258006がある。
  • 神戸地姫路支判平成17年8月9日判時1929号81頁WestlawJapan文献番号2005WLJPCA08090004。
  • 名古屋地判平成20年3月28日判時2029号89頁WestlawJapan文献番号2008WLJPCA03289006・名古屋高判平成20年11月11日自保ジャーナル1840号160頁WestlawJapan文献番号2008WLJPCA11119001。
  • 東京地判平成22年8月31日判時2127号87頁WestlawJapan文献番号2010WLJPCA08319010・知財高判平成24年2月14日判時2161号86頁WestlawJapan文献番号2012WLJPCA02149001。
  • なお、裁判所の判断中に情プラ法(当時のプロ責法)の議論は含まれていないが、当事者はプロ責法の議論をしており、このうちの商標権侵害を「知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったとき」というのは、前掲注6で述べた情プラ法3条1項1号「当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。」や2号「当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。」(いずれも令和6年改正による変更なし)を意識していると思われる。
  • 東京地判令和3年7月16日WestlawJapan文献番号2021WLJPCA07168016。
  • 東京地判令和3年11月30日WestlawJapan文献番号2021WLJPCA11308023。
  • 東京地判令和4年4月15日判タ1510号241頁WestlawJapan文献番号2022WLJPCA04159002。
  • 東京地判令和4年7月28日WestlawJapan文献番号2022WLJPCA07288009。
  • 東京地判令和4年8月30日WestlawJapan文献番号2022WLJPCA08308009。
  • 東京地判令和5年2月27日WestlawJapan文献番号2023WLJPCA02278006。
  • 東京地判令和7年4月25日消ニ144号258頁WestlawJapan文献番号2025WLJPCA04256001。
  • https://www.meti.go.jp/press/2024/02/20250212003/20250212003-1r.pdf
  • この点は、いわゆるブロッキングと通信の秘密も関係するところ、この論点をまとめた近時の論稿として大島義則「【特集】オンラインカジノの現状と課題 ブロッキングの可否――通信の秘密を中心として」ジュリスト1619号70頁以下(2026年)参照。この文脈において、那須翔「KADOKAWAほか対Cloudflare一審判決:CDNプロバイダが漫画海賊版サイトにサービスを提供しDMCA通知に対応しなかったことが出版権侵害の幇助とされた事例(東京地方裁判所令和7年11月19日判決)(仮題)」JILISレポート掲載予定は、脅迫電報事件(大阪地判平成16年7月7日判時1882号87頁WestlawJapan文献番号2004WLJPCA07070003)、Google事件(最三小決平成29年1月31日民集71巻1号63頁WestlawJapan文献番号2017WLJPCA01319002)、及び、Winny事件(最三小決平成23年12月19日刑集65巻9号1380頁WestlawJapan文献番号2011WLJPCA12199001)を踏まえ、情プラ法上の削除に関する体制整備義務等を負う大規模特定電気通信役務提供者(松尾剛行「情報流通プラットフォーム対処法施行下における名誉毀損・名誉感情侵害等に対する手続法的対応」学習院法務研究20号(2026年)掲載予定参照)の範囲に関する現行情プラ法施行規則8条6項の「不特定の利用者間の交流を主たる目的としたもの」であるとの制限がCDNサービスの提供者の指定を阻んでいるところ、同規則への委任の趣旨からは、CDNサービスの提供者をカテゴリカルに除外する理由はなく、具体的な義務規定に照らしても、指定は一定の効果があるとして、省令改正を提言しており、注目に値する。
  • ただし、本判決は、「被告は、本件通知の受領から1か月を経過した時点(以下「本件時点」という。)で、被告サービスの提供を停止することができたと認められるから、同時点で被告サービスの提供を停止する義務を負うところ、これを怠ったものといえる。・・・・・・したがって、被告は、本件時点以降、本件運営者による原告らの出版権の侵害を過失により幇助したものと認められる。」として、CDNサービスの提供を停止する義務違反を過失としているようである。しかし、本来過失は注意義務違反であるはずであって、もし被告が「サービスの提供を停止する義務」を故意で怠ったのであれば、故意のはずである。そこで、過失の認定方法としては疑問である(とはいえ、上記のとおり「当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があった」ともしているので、もしかすると、この部分を過失としているのかもしれない)。
  • 被告の主張欄には「被告は、キャッシュサービス停止措置をコンテンツ単位で行う技術的手段を有しておらず、ドメイン単位で一括して行うことになる。そのため、キャッシュサービス停止措置は、本件コンテンツ以外の本件各ウェブサイト(筆者注:海賊版ウェブサイトのこと)に掲載されているコンテンツについてもキャッシュ機能を停止するもので、過度に広範なものであり、これを正当化する事情が必要となる。」という主張が記載されている。



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