第15号 【2026年4月施行】従業員数101名以上の企業は特に必見!女性活躍推進法改正(情報公表義務の拡大等)
文献番号 2026WLJLG003
Westlaw Japan コンテンツ編集部
Ⅰ 概要
1.はじめに
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(以下「女性活躍推進法」とします。)は、職場における女性の活躍を促進する観点から、職場の女性の活躍に関する状況把握、課題分析を踏まえた「事業主行動計画」の策定・公表や、男女の賃金の差異等のような女性の活躍に関する情報を公表すること等を、一定規模以上の企業等に課す法律です。本法は、2025年6月11日に公布された「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律」により改正され、その大部分が、2026年4月1日より施行されます。この記事では、女性活躍推進法等の概要及び2026年4月1日以降に施行される改正事項のポイントを説明の上、チェックリスト形式で企業が対応すべき内容につき紹介します。
2.企業が押さえるべき改正の3つのポイント
女性活躍推進法は、従来、2026年3月31日までの時限立法でしたが、本改正により、有効期限が2036年3月31日までの10年間延長されました。これは、現状、女性活躍推進法が未だその役割を終えたといえる状況にはないとの判断から、更なる取組みの推進を図る国の姿勢を示すものです。本改正に関連して、推進される取組みのうち、企業が押さえるべき主なポイントは以下の3つです。
| ポイント | 対応の必要性等 |
|---|---|
| ①女性活躍の情報公表義務を拡大・強化 | 従業員数101人以上の企業で対応が必須です。 |
| ②プラチナえるぼし認定の要件追加等 | 認定企業は、認定維持のために対応が必要です。 |
| ③職場における女性の健康支援 | 法律上の直接の義務として明記されたわけではないものの、企業においても対応することが望ましいです。 |
以下では、この3つのポイントにつき、簡単に説明していきます。
3.女性活躍の情報公表の強化
本改正では、情報の公表における「必須項目」及び「公表義務のある企業規模」が拡大されました。これまで常用労働者(以下、「従業員数」とします。)が301人以上の企業に公表が義務付けられていた「男女間の賃金差異」の項目につき、改正後は従業員数101人以上の企業にも公表義務が課されます。また、「女性管理職比率」についても、従業員101人以上の企業は公表しなければなりません。
上記の改正点を整理すると、以下の表のとおりになります。
| 常用労働者数 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 301人以上 | 「男女間の賃金の差異」に加えて2項目の公表義務 | 「男女間の賃金の差異」及び「女性管理職比率」に加えて、2項目(合計4項目)以上の公表義務 |
| 101人~300人 | 1項目以上の公表義務 | 「男女間の賃金の差異」及び「女性管理職比率」に加えて、1項目(合計3項目)以上の公表義務 |
なお、「男女間の賃金の差異」については、「男女間の賃金の差異の解消に向けて」(厚生労働省ウェブサイト)には、「男女間の賃金の差異」の算出方法や男女の賃金の差異の情報を公表している企業の好事例等に関する資料も掲載されています。また、初回の「男女間の賃金の差異」及び「女性管理職比率」の情報公表は、改正後の女性活躍推進法の施行(2026年4月1日)後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表する必要があり、その後もおおよそ1年に1回以上、最新の数値を公表する必要があります。
その他、具体的な公表のイメージや情報公表の方法(「女性の活躍推進企業データベース」(厚生労働省ウェブサイト)の利用)等については、「男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務が拡大」(厚生労働省ウェブサイト)も参考になるでしょう。
4.「プラチナえるぼし認定」の要件追加等
「えるぼし認定」とは、一般事業主行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する取組みの実施状況が優良であるなど、一定の要件を満たした場合に、当該企業をえるぼし認定企業として認定する制度です。評価基準を満たす項目数に応じて3段階のえるぼしが存在します。また、「プラチナえるぼし認定」は、えるぼし認定企業の中でも、一般事業主行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取組みの実施状況が特に優良である会社に認定が与えられる制度です。えるぼし認定等を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マークを商品等に付すことができたり、公共調達での加点評価の優遇措置等が受けられ、また、プラチナえるぼし認定企業は、一般事業主行動計画の策定・届出が免除されるなど、認定を受けることにはメリットがあります(詳細は、「女性活躍推進法に基づくえるぼし認定プラチナえるぼし認定のご案内」(厚生労働省ウェブサイト)等が詳しいです。)。
本改正では、「プラチナえるぼし認定」の要件に、事業主が講じている求職者等に対するセクシュアルハラスメント(いわゆる「就活セクハラ」)防止に係る措置の内容を公表していることが加わりました。この部分の施行日は、2026年10月1日です。既に認定を受けている企業も、今後の認定を維持するためには、事業主が講じている求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に関する措置の内容を公表する必要があります。
そのほか、えるぼし認定基準(1段階目)の基準の見直しや、女性の健康支援に関する基準を追加した新しい認定である「えるぼしプラス(仮称)」認定も創設されることになっています。最新の情報は、「女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)」(厚生労働省ウェブサイト)からご確認ください。
5.職場における女性の健康支援
本改正では、女性の職業生活における活躍の推進は、女性の健康上の特性に留意して行われるべき旨が法律で明確されました。女性活躍推進法上に明記されてはいないものの、女性の健康上の特性には、例えば、月経や不妊治療、妊娠、出産、更年期等が含まれると考えられ、企業においても、このような特性に留意した上での女性活躍の推進が望まれます。
特に、同法は、事業主に事業主行動計画の策定・公表等の義務(努力義務の企業もあり。)を課し、「事業主行動計画策定指針」では、その策定に関する基本的な事項等を定めているところ、同指針も本改正に伴い改正されています。一般事業主行動計画の策定に当たっては、男女の性差を踏まえ、特に職場における女性の健康上の特性に係る取組みが行われることが望ましいとされています。この取組みの例としては、女性の健康上の特性に配慮した休暇制度の充実や柔軟な働き方の実現等が挙げられます。性別問わず使いやすい特別休暇制度の整備及び職場全体の働き方改革等、女性だけでなく労働者全体を対象として取り組むことも有効でしょう。なお、健康に関しては、プライバシー保護が特に求められることに留意が必要です。
6.まとめ
本ガイドでは、2026年4月1日に施行される女性活躍推進法等改正に関して、企業が押さえるべき点について説明してきました。施行後は、常用労働者数101人以上の企業においては、その規模に応じて、「男女間の賃金の差異」及び「女性管理職比率」等を含んだ情報につきおおよそ1年に1度以上は情報公表(更新)をすることになります。
また、認定によりメリットを享受できるえるぼし認定についても、各種の見直しがされています。特に、プラチナえるぼし認定を受けている企業に関しても、認定を維持するためには、求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止に係る措置を公表する必要がありますので、注意が必要です。一方、認定を今まで受けたことがない企業でも、えるぼし認定等により得られるメリットを考慮し、認定を受けることを検討することもおすすめします。
さらに、一般事業主行動計画の策定等においても、女性の健康上の特性に係る取組みを行うことも推奨されます。
本改正に関する対応を怠ること自体を罰する規定は設けられていません。しかし、例えば、公表義務に関しては、事業主が公表をしない場合等には、厚生労働大臣は報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができます。厚生労働大臣から報告を求められたにもかかわらず報告をせず、又は虚偽の報告をした場合、20万円以下の過料に処される可能性があります。また、勧告を受けた事業主が従わなかった時は、その旨が事業者名とともに公表される可能性があります。企業名の公表は、企業イメージの低下や採用活動への悪影響につながりかねず、このようなリスクを避けるという意味でも、企業は、特に公表義務に関して、適切な対応を進める必要があります。
法令違反のリスクを避けるという観点を除いても、女性活躍に関する情報の公表、えるぼし認定の取得や女性の健康上の特性を踏まえた取組みは、採用活動等の場面において企業の魅力や取組みの姿勢を具体的にアピールする有効な手段となり得るため、人手不足の中でも女性を含めた人材を確保し、定着させていく上でも重要です。下記のチェックリストも参考にしつつ、適切に対応していくことが重要です。
Ⅱ 企業対応チェックリスト
1.対応必須(情報公表義務)
(1)対象企業の判定
常時雇用する労働者数(以下「従業員数」とします。)は何人ですか?
(2)公表すべき項目(本改正により新たに公表が義務化された項目)
① 「男女間の賃金の差異」(本改正により、従業員数101人以上300名以下の企業に対して公表が義務化(301名以上の企業については既に義務))
② 女性管理職比率(本改正により従業員数101人以上の企業全てに新たに義務付け)
*以下のいずれかに該当する者は、「課長級」です(一般的に「課長代理」や「課長補佐」については、「課長級」に該当しません。)。
(3)追加で公表が必要な項目(改正前からの項目)
① 女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績
② 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績
(4)公表・更新のタイミング
(5)公表の方法・場所
「女性の活躍推進企業データベース」(厚生労働省ウェブサイト)がおすすめです。このデータベースでは、入力後1年を経過して更新がない場合に通知メールが送信される仕組みもあり、更新し忘れの防止にも役立つでしょう。
2.対応が推奨される事項(えるぼし認定・女性の健康上の特性に係る取組み)
(1)えるぼし認定関係
(2)女性の健康上の特性に係る取組み
3.最新情報に着目
企業が対応しなければならない法改正等は数多くなされています。このような法改正に対応するためには、まず、最新情報に触れることが重要です。最新ニュースや法令の情報等を把握し、折よく対応していくために、Westlaw Japanがおすすめです。
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(掲載日:2026年3月31日)
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