- トムソン・ロイター
- 【大王製紙株式会社様事例】Westlaw Japanで実現した法務部と事業部が連携したグループ横断の法令管理
法務部が導入し活用するサービスは、基本的には法務部員が使いやすいように配慮がなされている。しかし、法務の仕事は法務部だけで完結するわけではなく、全社であり全グループ会社に情報が行き渡り、課題が解決してこそのものである。事業部などの現場の社員たちにもメリットが あると考えてWestlaw Japanの導入を決めた、大王製紙株式会社コーポレート部門総務本部法 務部部長の相佐健吾氏と法務課長の野田博師氏に話を聞いた。
製紙事業の現在地と新たな事業展開
──大王製紙(株)の事業内容や規模を教えてください。
野田:当社の事業には、大きく2本の柱がありま す。1つは紙・板紙事業といわれるもので、たとえ ば新聞用紙や印刷用紙といった洋紙や段ボールなどに使われるいわゆる板紙の製造・販売を行っています。2つ目は、ティシューペーパーやトイレットペー パーなどの衛生用紙、紙おむつや生理用品などの紙 加工品を製造・販売するホーム&パーソナルケア事 業です。現在の売上構成は、紙・板紙事業が若干多 いですが、紙の需要が縮小する中、今後はホーム & パーソナルケア事業の国内・海外でのさらなる拡大 を目指しています。
一方で、脱プラスチックという世界的な流れに対応し、環境にやさしい紙製の包装資材「エリプラシリーズ」の展開や、企業の皆さまから製造残渣を提 供いただき、パルプと混抄することで新たな紙とし て再生する試み(Rems)も行っています。「紙」の新たな可能性として、今後が楽しみな取り組みです。
なお、グループ全体の売上高は 6,689 億円 (2025 年3月期 )、従業員数は大王製紙単体で 2,332 人、 グループ全体で 12,191 人 (2025 年3月末現在 ) となっています。
法令アラートセンターの画面表示例
「法令アラートセンター」は、法令改正や新法案の動向を自動検出し、メールやWeb画面を通じて一元管理・通知する仕組みです。
グループ内で使える仕様が導入の決め手
──法務部の役割はどのようなものですか。
相佐:大王グループのビジネスの成功支援や経営 へのリスク最小化という、一般に法務・コンプラ イアンス部門のミッションとされる業務全般です。 具体的に挙げれば、国内外の契約レビューに加え、 2022 年 10 月に策定した大王グループ行動規範や 贈賄防止規程のグループ内へ の周知やコンプライアンス教育、各種法務相談・紛争対応、 CG 報告書作成、株主総会支援 といったコーポレートガバナンス業務となります。これらの業務を必要に応じて事業部や他の コーポレート部門、内部監査部 門と連携して進めるとともに、 海外リスク、労務・人権、ESG 調達などに関する各種委員会へ も参画しています。
野田:当社の特徴的な取組みとして、関係法令に主管部署を設定しており、改正があった場合などの対応の要否や方法は現場が判断することになっています。事業部などを巻き込んで、会社全体で法令改正や新法に関する意識を維持できるフローができあがっています。毎週水曜に法令改正の1週間分の情報が法令アラートセンターから当該部署に配信されているので、それを踏まえて法務部が前月に公布された法令をエクセルで一覧化し、毎月第5営業日までに対応状況を記入してもらいます。この内容は毎月開催されるリスク・コンプライアンス委員会でも発表し、担当部門にも周知徹底します。
法令カレンダーの画面表示例
法令の公布日・施行日などをカレンダー形式で一覧表示し、改正法令の全体像とタイミングを視覚的に把握 できる。
相佐:この社内フローを実施する場合、重要なのは ビジネス部門などの主管部署に法改正や新法の内容を正確に理解してもらうことです。その意味で Westlaw Japan のサマリーは非常にわかりやすく、 法律に詳しくなくても短時間で改正や新法の概略を 把握することができます。同じ内容はデータベースにもアウトラインという形で掲載されており、つながりも非常にわかりやすいですね。
また、メールアドレスを登録できる件数も多いの で、日本国内にある子会社に対しても基本的に同様 の情報を送ることができます。こうした法令改正や コンプライアンス関係の情報を本社からグループ各社に直接発信していると、子会社側からも問い合わ せがしやすくなるので、グループ横断で Westlaw Japan が使えるのは非常にありがたいです。
──使用頻度が高い機能や、便利な機能があれば教えてください。
野田:法令アラートセンターと法令カレンダーをダントツに使っています。アラートセンターのアウトラインの機能は、前月の改正をエクセルで一覧化するときに抜けがないかを確認するときに便利です。新法だけをチェックして抽出することもできるので、新法の主管部署を割り当てる時にも利用します。また、法令カレンダーは、公布日順や施行日順で各法律の改正を追うことができますし、アイコンをクリックするだけで概要も確認できます。
Westlaw Japan を導入した理由の1つに、当社仕様に簡単にカスタマイズできることがありますが、トムソン・ロイターの担当者がわれわれの使い方に合わせてマニュアルにはない情報を教えてくれることでも非常に助かっています。導入後のケアが手厚いのは、ありがたいですね。先ほども法令アラートセンターの中に新法だけのボックスを作れば、新法の情報をわかりやすく管理することができると教えていただいたので、早急に設定したいと考えています。
──今後どのように法務部を動かしていきたいと思いますか。
野田:グループ全体へのコンプライアンスの浸透を、さらに深めたいと考えます。先般ウェブセミナーを企画したのですが、リアルな事例を取り上げることで現場の社員に関心を持ってもらえることを実感しました。実際に起きている問題を汲み上げて解決に導くこと、これを地道に積み上げたいと思います。
相佐:ESG を考慮した新商品などグローバルでのビジネス展開も法務として積極的に支援していきます。そうなると、トムソン・ロイターの信頼ある海外の情報サービスも魅力的ですね。もちろん、予算との兼ね合いもありますが(笑)。