CoCounsel 事例
大鵬薬品工業株式会社
グローバル法務の現場で、契約と法的課題を確かな根拠でさばく
トムソン・ロイター(株)の CoCounsel と Practical Law
抗がん剤を中心とする医療用医薬品事業をグローバルに展開し、近年は海外売上比率が6割に達している大鵬薬品工業株式会社。製品数の増加と海外展開の進展に伴い、法務部門には契約審査にとどまらず、海外子会社支援や紛争対応など、変化する多様な法的課題への対応が求められている。契約実務の高度化を支えるCoCounselと、海外法務調査やナレッジ基盤整備を支えるPractical Lawをどのように活用しているのか。法務部長の杉原俊浩氏、法務部二課課長補佐の江頭学氏、法務部一課担当課長の梅本恵太氏に話を聞いた。
グローバル法務を支える体制
─まず、大鵬薬品工業株式会社の事業と、法務部門の役割について教えてください。
杉原:当社は医療用医薬品とコンシューマーヘルスケア、2つの事業を展開しています。特に医療用医薬品は抗がん剤を中心に事業をグローバルに展開しており、近年は海外売上比率が6割に達しています。売上だけでなく、10数年前と比べても、海外で取り扱う製品は圧倒的に多くなりました。
法務部門の中心業務は契約書レビューですが、製薬業界では研究開発、ライセンス、共同開発など多様な契約が発生します。さらに、グローバル展開が進むなかで、海外子会社を含む関係会社のリーガルサポートや、海外案件に伴う紛争対応の重要性も高まっています。
─法務部の体制はいかがでしょうか。
杉原:法務部の体制としては大きく2つに分かれており、契約書レビューや紛争対応などを担うチームと、契約管理や業務効率化、デジタル活用などを担うリーガルオペレーションのチームがあります。
梅本:リーガルオペレーションを専門で行う課を新設したのは今年に入ってからです。従来は通常の法務業務と並行して進めていましたが、どうしても契約レビューなどが優先され、オペレーション改善が後回しになりがちでした。そこで、あえてそこに軸足を置いた体制を整えました。
また、オペレーションチームは、研究や営業など法務以外の部署の経験者を中心として構成されており、多様な視点が入ることで、チームとしても活性化していると感じています。
杉原俊浩氏
法務部部長
大鵬薬品工業(株)
江頭 学氏
法務部二課 課長補佐
大鵬薬品工業(株)
梅本恵太氏
法務部一課 担当課長
大鵬薬品工業(株)
法務特化型AIに求めたのは、「効率」と「信頼性」の両立
─CoCounsel、Practical Lawの導入は、どのような問題意識から始まったのでしょうか。
江頭:もともと法務部でもCopilotやChatGPTなど、汎用的な生成AIは使ってきました。ただ、法務という部署の性質上、回答の信頼性をどのように担保するかが非常に重要だと考えています。様々なAIツールを試していくなかで、「これで本当によいのか」と感じる場面もあり、より適したツールを探していきました。
法務部は非常に多忙で、業務効率を高めなければならない一方、アウトプットの質も上げなければなりません。この一見矛盾する課題を同時に解決するには、法務特化型AIの力を使う必要があると考えました。
─その中でCoCounselを選ばれた決め手は何でしたか。
江頭:CoCounselは、チャット形式で扱いやすく、しかも膨大な文書を読み込ませて解釈・整理できる点が魅力的でした。実際に体験してみて、これは法務実務に十分活用できると感じ、部内でトライアルを重ねたうえで、導入に至りました。
梅本:1つの契約書が何十ページにも及ぶこともありますし、デューデリジェンスやアセスメントのように複数文書を横断して分析、評価する必要がある場面もあります。そのなかで、読むべき箇所を正確に抽出し、しかもフットノートで根拠箇所を検証しやすい形で示してくれる点が、私たちのニーズに非常によく合っていました。
一方、Practical Lawは、米国法改正などを調べる場面で使い始めています。現時点ではCoCounselの活用を先行させていますが、今後はPractical Lawも、各国制度や法改正動向を把握するための調査基盤として活用を深めていきたいと考えています。
年間約2,500件の契約レビューを支え、調査・標準化・育成にも広がる活用
─実務では、どのような場面で活用されていますか。
梅本:契約レビュー件数は年間約2,500件に上ります。高度な契約についてはCoCounselをどう使うかという観点がありますし、簡易な契約については他のAIツールも含め、どのやり方が最適かを見ながら運用しています。各ツールの強みを踏まえて用途に応じて使い分けている形です。
CoCounselで特に有効だと感じているのは、長文の英文契約です。何十ページもある契約書を前にしてどこに重点を置いて確認すべきか迷うような場合でも、CoCounselにかけて日本語でサマリーを出すことができます。プロンプトも汎用的なものをあらかじめ登録し、資料だけ差し替える形にすることで、安定した品質のアウトプットが得られるようになりました。
江頭:チーム全体で一定水準の品質とスピードを担保するうえでも、こうした使い方は大きいと思います。
─ナレッジ共有や若手育成への効果はいかがでしょうか。
梅本:法務部に配属される若手には、法学的な素養や資格を持つ人財も多いのですが、企業法務としては、事業に対する感覚や会社理解を身につけてもらうのに時間がかかります。そこで今、力を入れているのが契約プレイブック、つまり当社の契約ポリシーをまとめたナレッジ集の整備です。まずはそれを読んで、大鵬薬品の法務部としての考え方を理解してもらう。さらに、CoCounselにプレイブックと契約書を読み込ませてレビューさせることで、自社のポリシーを踏まえた契約レビューが可能になります。プレイブックでカバーできない論点を一般的な法律知識で補って回答してくれるところもCoCounselの魅力のひとつです。
海外法務では、契約レビューだけでなく、各国の制度や法改正動向を押さえることも欠かせません。そうした調査基盤としてPractical Lawにも期待しています。現時点では活用を深めている途中ですが、法制度の概要や実務ナレッジにアクセスできることで、部内での知識共有や調査の標準化にもつなげていきたいと考えています。
江頭:導入効果を定量化することは難しいのですが、空いた時間で新しい業務に手を広げられるようになり、海外子会社支援など、以前よりも踏み込んだサポートが可能になってきた実感があります。今後は、契約レビューの効率化にとどまらず、正解のない案件についてもAIや他部署との対話を通じて解決策を探るような使い方が広がっていくのではないかと考えています。
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