- トムソン・ロイター
- 【Practical Law】 双日株式会社
ウエストロー・ジャパン(株)が提供するリーガルソリューションである「Practical Law」。 世界各国の法制度・判例に関する解説や契約書雛形等の実践的コンテンツを多数収録し、 多くのユーザーから支持されている。今回は、日本を代表する総合商社として国際法務を多く扱う 双日(株)の佐野太彦氏に、法務部としての活用法を伺った。
双日法務部の特徴
──貴社法務部の構成・特徴を教えてください。
当社法務部は6つのセクションに分かれています。具体的には、契約法務を主管する第1課から第3 課と、コンプライアンスを主管するコンプライアンス統括課、物流コンプライアンス課、貿易管理課です。第1課から第3課は、営業本部が行っている売買、業務委託、M&A 等にかかる契約書の作成、レビュー、訴訟・仲裁対応、債権回収を担当しており、その業務に際し「Practical Law」を活用しています。当社は総合商社ですので、渉外取引の割合が多く、半分以上が英語の契約です。

各国の法制度が概観できる「Doing Business in」
各課は約 10 名で構成されており、半数近くが日本の弁護士資格を持ち、留学をしてアメリカの弁護士資格を取得する者も少なくありません。加えて、海外の法律事務所から弁護士の出向を受け入れる、外国人弁護士を社員として雇用する等して、数多くの英語案件に対応しています。
「Practical Law」を法務部のナレッジマネジメントのツールに
──「Practical Law」の導入状況を教えてください。
当社では、私が法務部に異動する前から「Practical Law」を導入していました。しかし、当時はアカウント数も限定的で、一部の外国人弁護士のみが使っていました。後述するとおり、「Practical Law」は法務部全体のナレッジマネジメントにもとても有効なツールです。法務業務はただでさえ属人化しやすい特性があるため、英文契約書業務に関しても、まずは共通のツールを与え個々が成長できる環境を整えることがナレッジマネジメントの第一歩であると判断し、徐々にアカウント数を増やしています。現在、法務部全体で24 個のアカウントを契約しています。
──「Practical Law」をどのように活用していますか。
当社には、英語ネイティブの社員もいますが、そうした人材は多くありません。私自身、英語がすごく得意であったわけではないので、若手の頃は、どうしたら英文契約書の作成・レビューができるようになるのだろうという不安を常に抱えていました。英文契約書の作成・レビューのコツは、どれだけ「引き出し」を持つことができるかだと思います。「引き出し」を増やすためには、いろいろな雛形を見てスタンダードを知る、いろいろな参考条文例を見てバリエーションを勉強することが有用です。また、今はさまざまな情報に容易にアクセスができる時代ですが、法務部員としての「引き出し」に入れる情報は、信頼性が担保されている確かなものでなければなりません。
この点、「Practical Law」には、弁護士により執筆された10,000 件以上の契約書雛形が収録されています。加えて、常に最新の情報にアップデートさ れており、いつ・どのような根拠法令を基に作成されたかというソースが示されています。そのため、 若手・中堅社員が「引き出し」を増やし、スキルを 磨いていくために、とても有効なツールとして活用しています。
「Doing Business in」という、各国ごとの法体系や特徴的な法制度を概観できるコンテンツも非常に役立ちます。現在、103の国と地域の情報が提供されています。当社はいろいろな国でビジネスをやっておりますので、突然、全く知見のない国・地域でビジネスをしたいという相談を受けることも多々あります。先日も、ある部員が、ルクセンブルクでビジネスをやりたいという相談を受け、「Doing Business in」を利用して、どのような法律体系なのか、どのような規制があるのかをリサーチしていました。

佐野太彦氏(双日株式会社法務部第二課課長)
また、たとえば、データ・プロテクションに関する法規制、代理店保護規制など、国・地域横断的に1つのテーマを調べることもできます。外部弁護士を起用して調べるほどではないけれども概観を把握したいときに、網羅性のある情報が得られることは非常に便利です。
──使いこなすための工夫を教えてください。
当社法務部には企画戦略ユニットがあるのですが、そのチームの主催で、部員同士で有効な使い方を共有できるよう、勉強会を開いています。また、ウエストロー・ジャパンからも、定期的にレクチャーの申し出を頂いています。法務部は人の入れ替わりも少なくありませんので、ありがたく思っています。
他社へのメッセージ
──さいごに、導入を検討している法務部に一言お願いします。
自社リソースだけで契約書雛形を作成することは、正確性担保の面でとても勇気がいる作業です。外部弁護士を起用すると費用と時間がかかりますし、法務部員のレベルアップにはつながりません。契約書のメンテナンスも、とても手間がかかる作業です。法律が改正されたら常にアップデートしなければなりませんし、情勢に応じた条項を常に考えなければなりません。その点、多様かつ信頼できる契約書雛形・条文にアクセスができる「Practical Law」は、活用可能性が大きい、とても有用なツールであると思います。