Legal Tracker

株式会社プロテリアル​

グローバル法務を“見える化”し、企業価値向上を支えるリーガルマネジメント改革

登壇者プロフィールと企業概要

乾山氏はこれまで3社で法務・コンプライアンス業務を統括してきた。新卒で丸紅株式会社に入社し約21年間在籍、そのうち合計約7年間は米国で勤務した。2018年にフランス系企業のAir Liquide(エア・リキード)に移り、アジア・パシフィック地域のチーフリーガルオフィサーとして約30名の弁護士をマネジメント。

2024年にプロテリアルに入社し、現在はCLO、ジェネラル・カウンセル(GC)およびチーフリスクコントロールオフィサー(CRCO)を務めている。

プロテリアルは、もともと日立金属として日立製作所の上場子会社であったが、2023年にベインキャピタルが軸となる企業コンソーシアムを新パートナーとする資本再編の際、社名を変更した。創業1910年、従業員数約1万8,000人、売上収益約7,600億円(2025年3月期)、連結子会社数48社(2025年12月末現在)を擁する。モビリティ、エレクトロニクス及び産業インフラ向けに特殊鋼、磁性材料(ネオジム磁石等)、半導体関連材料などの高機能材料を製造し、アジア、北米、ヨーロッパに拠点を展開している。

トムソン・ロイターの「Legal Tracker」導入ケーススタディとして、株式会社プロテリアルにおける取り組みについて、CLO 兼 GC 兼 CRCO 法務本部長の乾山 啓明 氏がイベントで登壇し、導入プロセスや活用方法を紹介している様子。

株式会社プロテリアル
CLO 兼 GC 兼 CRCO 法務本部長 乾山 啓明 氏

導入の背景と課題

2023年の資本再編後、企業価値向上に向けた事業再編や買収等のプロジェクト案件が増え、法律事務所を起用する機会が国内外で増加した。2024年、グローバルにリーガル業務を統括するためCLOポジションが新設され、乾山氏が就任した。

導入前には主に2つの課題があった。1つ目は、グループ全体の弁護士事務所への支払額把握が困難であったこと。リーガルスペンドの集計は既存の会計システムからの情報に加えて、海外地域統括会社に都度問い合わせ、エクセルで取りまとめる必要があった。2つ目は、特に海外事務所への支払額が高騰していること。米国の大手弁護士事務所のパートナーのアワリーレートが1,500ドルから2,000ドル超となるケースがある一方、日本の大手弁護士事務所は6万円から10万円程度と、円ドルの為替レートも考慮すると、足元では米国の水準は日本の2倍以上となっている。高額な請求については明細ごとの請求時間の精査や、減額交渉が必要になるケースもあった。

導入プロセスと直面した壁

2024年10月にトムソン・ロイターのウェブサイトから資料を請求し、検討を開始。2025年1月から社内手続きを進め、2月にトムソン・ロイターに正式に依頼、3月にキックオフミーティングを実施し、導入に向けたシステム設定等準備作業を行い、7月にLegal Trackerの本格稼働を開始した。正式決定から稼働まで約4ヶ月を要した。

導入の壁もあった。導入に向けたシステム設定に最も時間を要する一方、同社のリーガルチームにはリーガルオペレーション専任担当者がいないため、通常業務と並行して導入作業を進めることが難しかった。また、日本・米国・中国の3拠点のリーガルチームに定期的に進捗を共有し、Legal Trackerの操作方法をレクチャーする必要もあった。

導入による成果と活用の広がり

Legal Tracker導入による成果は主に4つある。1つ目は、請求書の明細チェックが容易になったこと。明細中の項目ごとに「アクセプト」または「リジェクト」を選択でき、その理由を事務所向けにシステム上で記載できる。導入4ヶ月ながら費用削減効果を実感している。

2つ目は、複数のリーガルチームが関与する案件の弁護士費用承認プロセスの改善。例えば、クロスボーダー案件において、米国と日本のリーガル担当者が順次承認するプロセスを設定することもでき、また、承認ルートは国ごと、案件ごと、人単位で柔軟に設定可能だ。

3つ目は、案件ごとの予算管理が可能になったこと。予算を設定し、予算消化率を可視化でき、予算超過時にはアラートが出る。

4つ目は、レポート作成機能。CEOやCFOから問い合わせがあった際、法律事務所ごとのリーガルスペンドや案件種別ごとの支出割合を例えば円グラフで即座に表示できる。このレポート機能はCLOにとって必須だという。

弁護士事務所の選定とハウスルールの設定

弁護士事務所起用時は、コンフリクトの有無、専門性、過去の案件実績などをチェックする。こうした情報をこれまではエクセルで管理していたが、Legal Trackerを使うこともできると考えている。

費用高額化を抑えるには、チームフォーメーションの段階で関与する弁護士数を絞り、パートナーとアソシエイトの比率を適切に設定してもらうことが重要だ。Legal Trackerでは、クライアントによる弁護士のアワリーレート承認が必要なため、新たな弁護士追加時にチェックポイントを設けられる。

会社によっては、弁護士事務所起用に関するハウスルールを持っているところもある。例えば、米国の事務所に対して1年目のアソシエイトはチームに加えない、リーガルリサーチのフィーは請求しない、フライトはファーストクラスを使わないなどのルールを設定する会社もある。こうしたハウスルールを弁護士事務所と合意した上でLegal Trackerに設定すれば、逸脱する請求書は自動的に弾かれレッドフラッグが立つ。ハウスルールを整備し運用すれば、Legal Trackerはさらに効果的に活用できる。乾山氏はこう語り、講演を締めくくった。

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