ONESOURCE DataFlow 導入事例

旭化成株式会社導入事例

250社規模の税務情報収集を自動化し、グローバル税務ガバナンス強化を実施

税務部門が自ら動いた、クラウド化への決断

ONESOURCE DataFlowを採用されたきっかけと、導入当時の状況について教えてください。

導入を検討していた頃、JーCFC(外国子会社合算税制)の改正があり、世界中の関係会社から情報収集の必要性が生じていました。当時はすべてメールでやり取りをしており、状況確認のためにメールを一つひとつ開き、Excelに転記して保存するという作業を繰り返す必要がありました。情報収集の工数が非常に多くなっており、何とか効率化できないかと模索した結果、ONESOURCE DataFlowに辿り着いたのです。従来のExcelで質問票を作成する運用は継続しながら、クラウド上で一括して情報を集められ、提出状況がリアルタイムに把握できる点が、まさに当社のニーズに合致していました。PDFなどのファイルもクラウド上で一元管理できることがわかり、業務効率の改善を期待し、導入を決めました。

旭化成株式会社 ONESOURCE DataFlow活用範囲の推移(2021~)

旭化成株式会社 ONESOURCE DataFlow活用範囲の推移(2021~)

当時は何社程度を対象にされていたのでしょうか。

当時は、海外200社ほどが対象でした。一社一社にメールで添付ファイルを送り、返ってきたものを確認してフォルダに保存するという作業は、定量的に測るのが難しいほど膨大でした。一件あたり5分としても、200社分、さらに確認・催促の手間も積み重なります。単純な足し算ではすまない作業量が、担当者に重くのしかかっていました。だからこそ、システム化による効率化の余地は十分にあると確信していました。

旭化成株式会社 経理・財務部 税務室 税務戦略グループ長 リードエキスパート 税理士 髙久直毅氏

髙久直毅氏

年1回が年4回超に――旧来の運用では立ち行かない

情報収集の頻度はどのように変化していったのでしょうか。

当初は年1回の情報収集でしたが、対応すべき制度が増えたことで、現在は四半期ごとに実施しています。以前のやり方のままでは、回数が増えた時点ですでに破綻していたと思います。ONESOURCE DataFlowの導入は、効率化のための選択というよりも、業務を継続するために必須の対応でした。頻度が増えるたびに、メールの量も確認作業も比例して増えていくわけですから、どこかで仕組みを変えなければならないタイミングは必ず来ていたと思います。

旭化成株式会社 経理・財務部 税務室 税務室長 リードエキスパート 米国公認会計士 三嶌晴志氏

三嶌晴志氏

製品の選定にあたって、重視されたポイントを教えてください。

一番は「簡便性」です。多機能で複雑すぎるものより、シンプルにデータを集められる使い勝手の良さを優先しました。最終的には3〜4社を比較しましたが、必要な機能が揃っており、費用面でも折り合いがついたことが決め手となりました。税務部門が主導して導入する以上、ITの専門部署に頼らなくても自分たちで運用できることが大前提でした。その点でも、ONESOURCE DataFlowは私たちの求めるものと合致していました。

現場が使い慣れた「Excelベース」であることも重要でした。私たちだけでなく、情報を入力する関係会社の担当者にとっても、操作感が変わらず負担が少ないというのは大きなポイントです。新しいシステムを導入するとき、入力する側の現場がなかなか使いこなせないという問題はよく聞きますが、ONESOURCE DataFlowはその心配が少なかったのです。既存のExcelシートをそのまま活かしながら移行できるため、現行業務への影響を最小限に抑えられました。

海外子会社から国内工場まで、広がり続ける活用の輪

現在はどのような範囲で活用されているのでしょうか。

国内の子会社は、現在60数社あります。それに加えて、旭化成本体の各部署や工場にも展開しており、依頼先は部署単位で優に100を超え、海外子会社についても導入時の約200社から、現在は250社まで拡大しています。国内税務についても、各現場から申告に必要な情報を集めるプロセスは、海外子会社とのやり取りと本質的に同じです。メールで様式を送り、かき集めて集計するという作業が共通しているため、同じ仕組みで横展開できると考えました。JーCFC対応で手応えを得たのち国内にも広げていきましたが、今では導入当初に想定していた以上の範囲で使いこなしています。

 

海外展開の際、導入をスムーズに進めるためにどのような工夫をされましたか。

グローバル展開にあたっては、英語や中国語での説明会を計5回ほど実施しました。最初の1年は、日本の本社が連絡を取りやすい、日本人の出向者がいる20社ほどを対象にテスト導入しました。そこで改善点を洗い出し、1年間試験的に運用したうえで手応えを得たのち、翌年に残りの200社へ一気に展開しました。システム自体の操作感がExcelに近いため、現地ユーザーも大きな違和感がなく受け入れてくれた印象です。

 

多言語対応については、どのように運用されているのでしょうか。

ONESOURCE DataFlowはExcelベースなので、言語をプルダウンで切り替えられるように設定しています。日本語を選べば日本語、中国語を選べば中国語で質問票が表示されるようにしており、会社名の選択時に、Zollなどのグループ名を選び対象会社のみを隣のセルに表示させて選ぶという、二段階構成のプルダウンを自分たちで作成したことがあります。システムに詳しくない担当者でも、自分たちでカスタマイズして運用可能です。

言語を動的に変えられる点は、海外拠点とのコミュニケーションにおいて非常に助かっています。質問票を翻訳して展開するプロセスを大いに自動化できています。

最近は、ナレッジベースとしての活用も始めています。子会社は、ドメインが異なるため日本本社のSharePointにアクセスできず、情報共有に苦労していましたが、ONESOURCE Dataflowのウェブリクエスト機能を使えば、Excelの設定無しにウェブ上で資料や情報を提供できることが判明しました。これも自分たちでカスタマイズして構築したもので、子会社が必要な情報をいつでも参照できる、ポータルサイトのような使い方です。これはアドバイザリー企業の力を借りずに自分たちで「手作り」しました。専門的なシステム知識がなくとも、工夫次第でここまでカスタマイズできるというのは、実際にやってみて気付いたことです。活用の幅が、また一つ広がっています。

旭化成株式会社でのONESOURCE DataFlow活用例

旭化成株式会社 ONESOURCE DataFlow活用例

過去データの自動引き継ぎが変えた、日常業務のかたち

データの管理面で、導入前に課題はありましたか。

税務の性質上、前年度末の税会差を当年度の期首に引き継ぐ必要があります。以前のメール運用では白紙の調査票を送付していたため、各担当者が過去の数値を自分で入力し直さなければなりませんでした。入力漏れがあるたびに個別確認が発生しましたが、ONESOURCE DataFlowを導入したことで、過去の残高を引き継いだ状態で依頼をかけられるようになりました。適切な初期値が入っているため、個別のフォローアップが不要になり入力漏れも著しく減りました。また、以前は各部署から届いた税務調整項目の情報を、一つの表に手作業で転記し合算していましたが、ONESOURCE DataFlowはデータの抽出ができるため工数が大幅に削減されました。

旭化成株式会社 経理・財務部 税務室 税務戦略グループ 課長 税理士 剣持みゆき氏

剣持みゆき氏

過去の履歴を参照できることも、大きな利点でしょうか。

そうですね。一年に一度のJーCFC対応において、「昨年どのような判断をしたか」をシステム内で参照できるのは大きな改善です。以前は一年経つと詳細を忘れてしまい、過去のメールを掘り返すのも一苦労でしたが、今はシステムを確認すれば容易にわかります。担当者が替わっても経緯を辿れるため、引き継ぎの負担も大きく減りました。税務は判断の根拠を後から説明できることが重要ですが、その点でもシステムに履歴が残っていることは非常に心強いです。

旭化成株式会社 経理・財務部 税務室 税務戦略グループ 課長 米国公認会計士 鈴木章峻氏

鈴木章峻氏

日常的な進捗管理についてはいかがでしょうか。

進捗が画面上一目でわかる点が優れています。単に集めるだけでなく、システム内で簡単な加工やデータの統合が可能なため、非常に効率が良くなりました。以前は収集・確認・集計を、それぞれ別作業として行っていましたが、今はそれらが一つの流れの中で完結します。作業の見通しが立てやすくなったことで、チーム全体の動き方も変わってきたと感じています。

作業中の会社をまとめて選択し、一斉にリマインドメールを送れる機能も非常に便利です。以前は一社ごとにメールを送っていましたが、今はボタン一つで済みます。管理者として、ユーザー管理や進捗の可視化が一体となっている点も素晴らしいと感じています。メールとExcelという、多くの企業で当たり前に行われていたアナログなプロセスを、ようやくシステムに移行できました。

化成株式会社 経理・財務部 税務室 税務戦略グループ 課長 エキスパート 税理士有資格者 佐藤和磨氏

佐藤和磨氏

部門を超えたデータ基盤を目指して

今後、ONESOURCE DataFlowを通じてどのような業務改善を目指していますか。

現在は税務の情報が中心ですが、各社の人員数や補助金の受給状況など、他の部署でも必要とする情報を集約し、共有できるデータベースにもしていきたいと考えています。税務部門だけが使うツールにとどめるのではなく、グループ全体の情報インフラとして展開するイメージです。そのためにも、まずは税務での活用実績をさらに積み上げていくことが大切だと考えています。

人員数については、人事・企画・法務など複数の部署がそれぞれメールで問い合わせている現状があります。これをONESOURCE DataFlowで一括収集し、各部署で共有できるようにすれば、問い合わせを受ける側の関係会社にとっても負担軽減になります。同じ情報を何度も求められる現場の担当者からすると、一度答えれば済むようになるのは大きな変化です。

 

部門横断した情報の「一次取得・共有」を目指すということですね。

同じ内容を多くの部署から聞かれるという現場の不満は、海外出張時でも耳にします。ONESOURCE DataFlowを情報のハブとして活用し、一元化していくことがグループ全体の効率化につながると考えています。税務部門が旗を振ることで、他部署の情報収集の課題解決にも貢献できる。そういった役割を担えることは、部門としてもやりがいがあります。

運用マニュアルの整備と「知の継承」

現時点での課題として感じていることはありますか。

機能説明のマニュアルはありますが、管理者が日常運用で「何をすべきか」を体系化した運用マニュアルがまだ不足しています。今は特定の担当者の知識に依存している部分があるため、誰でも引き継げるような簡易的なマニュアルを整備したいと考えています。使い込んでいるからこそ生まれる属人化のリスクとも言えますが、それを乗り越えて組織の「知」として定着させることが次のステップです。

 

最後に、同様の課題を抱える他社の税務担当者へのメッセージをお願いします。

メールとExcelによる情報収集は、どの企業でも長年当たり前とされてきたプロセスです。しかし制度改正や対象会社の拡大が重なれば、その限界はいつか必ずきます。ONESOURCE DataFlowは現場が使い慣れたExcelをそのまま活かして移行できるため、導入のハードルは想定よりも低いと実感しています。まずは、一つの業務から試してみることをお勧めします。

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概要

Industry
化学・化成品

Headquarters
東京都

Solutions
税務
(ONESOURCE DataFlow)

Year founded
1922年

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