1. トムソン・ロイター
  2. 旭化成株式会社 - 国際貿易管理ソリューション「ONESOURCE Global Trade Content」導入事例

ONESOURCE Global Trade 関税・貿易関連情報データベース「Global Trade Content」

旭化成株式会社
導入事例

The Challenge

マテリアル領域、住宅領域、ヘルスケア領域という3つの事業領域を柱に、グループ287社でグローバルにビジネスを展開する旭化成。海外拠点は20の国と地域に展開しており、約5万人にもなる社員のうち海外拠点の従業員は約4割強。2023年度の売上高全体における海外比率は52.8%と半数を超えており、同社にとって海外事業のさらなる成長はグループ全体の発展の大きなカギを握っています。
*出典:旭化成レポート2024

しかし、海外でのビジネスを円滑に進める上で避けて通れない課題。それは製品の輸出入に関する各国の法令や国同士の間で締結されている貿易協定への対応です。法令や貿易協定の内容を遵守した手続きの円滑な推進がコンプライアンスの観点から非常に重要なのはもちろんのこと、一方で特定の国同士の間で関税をはじめとした貿易障壁を撤廃することを目的として締結される自由貿易協定(FTA)の活用は、輸出入に関するコストを軽減するためにも重要な手段となっていきます。

こうした取引相手となる国・地域の関税関連制度のリサーチや関税関連手続きをサポートしているのが、旭化成の関税・コンプライアンスグループです。通関士試験合格者2名を含む少数精鋭のチームで、FTAに準じた取引を行うための原産性の確認や証跡資料の整備、各国関税制度を活用した関税コスト削減、また、保税措置の運用などを担っています。

関税・コンプライアンスグループでは、FTAを活用した関税の削減が大きなミッションに

「対象国は従来ASEAN各国がメインでしたが、特に近年は2022年に開始された、ASEAN10か国と日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの計15か国が参加する自由貿易協定『RCEP』の活用の機会が大きく増えていますね。当社製品のHSコードの判定や原産性の確認など高い専門性をもって業務にあたっています」

世界の貿易ビジネスにおいてFTAが活用されるようになってきたのはつい最近のこと。現在では日本とASEANやEUなど様々な地域との間で包括的なFTAが始まっていますが、それに合わせて旭化成の社内でもFTAに関する運用プロセスを標準化しようという動きが加速したといいます。特に、RCEPを通じて中国もFTAに参加したことで、改めて社内でもFTAのポテンシャルが高く認識されているのだそうです。

こうしたなかで重要となってくるのが、貿易相手の各国に対する基礎情報のリサーチと体系化です。対象国でどのような貿易協定が適用されているのか、関税率はどうなっているのか、手続きのプロセスはどうなっているのか、複数のFTAが存在する国ではどのFTAを適用するのが適切なのか。各国に対して個別にリサーチするにはあまりにも手間が掛かり、また貿易関連の法令や貿易協定の内容は国の外交政策などにより目まぐるしく変化していくものですので、制度の変更をいち早くキャッチアップして実務のなかに反映させなければなりません。特に現在は、米国を中心に関税に関する世界的な議論が加速しており、関税を巡る業務上のリスクは日に日に高まっています。

「日本と海外の貿易取引や、海外拠点間の輸出入等カバーしなければならない情報は非常に多岐に渡ります。こうした情報を旭化成全体のために我々のグループが提供することは非常に意義が深いと考えました」

The Solution

トムソン・ロイターが提供するONESOURCE Global Trade Content

こうした課題に対して旭化成が選んだのが、トムソン・ロイターが提供する「ONESOURCE Global Trade ‒ 貿易関連情報データベース Global Trade Content(以下、ONESOURCE Global Trade Content)」です。このソリューションは、220以上の国や地域の貿易関連情報を網羅し、約190名以上の専門スタッフが365日体制で制度のモニタリングを行うなど、常に最新の規制や制度変更に対応し、貿易ビジネス上のリスクを最小限に抑えることができます。旭化成では、このソリューションでキャッチアップした貿易業務に必要な各国の情報を事業部門と共有するとともに、海外拠点にもユーザーIDを提供して活用してもらっているといいます。

「ONESOURCE Global Trade Contentを活用した貿易関係の情報共有を通じて、事業部門にFTA適用のメリットやその際のコンプライアンス確保の重要性を理解してもらったり、海外拠点との間でコミュニケーションを促進するきっかけになっています」

ONESOURCE Global Trade Contentは、220を超える国・地域の関税情報、FTAをはじめとした500を超える関税削減プログラムと80を超える国・地域のデュアルユース品目リストを網羅するとともに、制度変更や新規制度の開始もいちはやく網羅。2024年には年間1億件以上の情報更新に対応しました。こうした高い網羅性と更新性によって、旭化成では貿易相手国が現在どのような関税体型になっているのか、複数のFTAが運用されている国や地域ではどの制度を適用するのが関税削減の観点から適切なのかなどを、ワンストップで把握できるようになったといいます。

「私のグループでは製品のHSコードも判定するのですが、各国の事前教示情報を調べられるのがとても便利です。この情報を基に判定した、HSコード(輸出入統計品目番号)から次は関税率、原産地基準とFTA活用の際に必要な一連の情報を調べることができます。ONESOURCE Global Trade ContentはFTAを活用するための必要不可欠なインフラとなっています」

事業部門からの依頼を受け、貿易相手国の関税情報を調査するケースがある一方で、関税・コンプライアンスグループ側から輸出入実績データを分析し、さらにONESOURCE Global Trade Contentを活用してFTAの適用可能性を探ることで、関税削減の新たな可能性を見出し、事業部に提案することもあるのだといいます。関税・コンプライアンスグループは、関税の専門的な知見を活かして売上や利益の最大化を目指す事業部門のビジネスを強力にサポートしているのです。

「ONESOURCE Global Trade Contentがなければ、私たちは各国の関税関連情報を各国のウェブサイトなど現地の情報を探しに行かなければなりませんし、国や地域によってはそうしたオープンな情報公開手段が整備されていないケースもあります。また言語の壁もあり正確な翻訳を担保できなければミスリードも起きてしまいます。そうした観点で、ONESOURCE Global Trade Contentの導入は業務効率化に大きく貢献してくれていると感じています。加えて、ONESOURCE Global Trade Contentで各国のFTAに関する情報を効果的に活用できたことによって、事業部門の利益率向上や輸入するお客様の関税負担が減ることで顧客満足度の向上といった効果も生まれています」

The Future

最後に、目まぐるしく変化する通商環境への対応とトムソン・ロイターへの期待を聞きました。

「米国の関税政策への対応が喫緊の課題ですが、関税率は国毎や製品毎に決定され、また除外品目も設定されています。更にこうした施策の変更の頻度が高く、正確に関税率の情報を理解するのが困難になってきています。

ONESOURCE Global Trade Contentはこうした関税率に関する情報を非常に正確にアップデートしています。今後は米国への対抗措置を講じる国も現れ、各国が(輸入関税を包括的に強化する)保護貿易に傾いていく可能性もあるのではないかと感じています。関税のあり方が大きく変わっていくのではないかと。そうした環境変化に伴い、中長期的にはサプライチェーンの見直しなども求められるのではないかと思いますが、私たち関税・コンプライアンスグループとしては、変化に応じ適切な対応をとるためにも、まずは貿易取引の基盤となる世界各国の関税制度の変化を正確にキャッチアップすることが重要だと考えています。トムソン・ロイターには引き続き正確かつ迅速な情報提供に努めていっていただければと思います」

まずは詳細お問い合わせください。

FTA活用に役立つ!関税・貿易関連情報を網羅するトムソン・ロイターの 「ONESOURCE Global Trade Content」の活用方法・デモはこちら。