受刑者が新型コロナウイルスへの対応についてワシントン州を提訴

2020年4月6日

(2020年3月26日)-ワシントン州矯正制度に基づいて刑期を開始した受刑者が、新型コロナウイルス感染拡大でパンデミック宣言がなされたことを受けて、刑務所における新型コロナウイルス感染の予防、封じ込めおよび治療を可能にする措置を講じるよう州に要求しました。

原告:ネイジェル、被告:ワシントン州矯正局など No. 20-2-05585-4, 申立受理, 2020 WL 1329368 (ワシントン州ピアス郡上級裁判所2020年3月17日)
 
ライアンM.R.ネイジェルは3月17日、ワシントン州矯正局が新型コロナウイルスの脅威への対応を怠ったことは複数の州憲法条文に違反するとしてピアス郡上級裁判所に提訴しました。
 
訴えによると、ネイジェルは第1級過失運転、銃器所持、麻薬所持で有罪判決を受けています。ネイジェルは3月11日、世界保健機関(WHO)がコロナウイルスの感染拡大についてパンデミック宣言を出し、また民主党のジェイ・インスリー知事が250人以上の集会を禁止したのと同じ日に刑期を開始しました。

 
ネイジェルは、宣言的救済および差し止めによる救済、弁護士費用およびその他経費に関する裁決を求めています。
 
ワシントン州矯正局は12の刑務所を運営しており、収容可能人数は合計で16,027人です。
 

「甚だ不適切な」な清掃状況

訴状によると、州刑務所の受刑者は「定期的に健康に良くない食物を与えられ」、「受けられる医療も不十分で総じて生活環境が劣悪である」ため、新型コロナウイルスの感染リスクがあると主張しています。
 
また、内科専門医であるウィリアム・バウアー博士も刑務所内での新型コロナウイルスの感染拡大が予想されるという申立てを提出しました。
 
訴状によると、2つの州刑務所においてすでに3人の新型コロナウイルス感染が確認されたとのことです。
 
また、ワシントン州の刑務所は所内のあらゆる箇所に存在するウイルスを死滅させるには、清掃状況は甚だ不適切である」とも訴えています。さらに、新型コロナウイルスの感染者は無症状である可能性もあり、感染した人が発症するまでに最大で14日かかる可能性もあるとも述べています。
 
この訴えでは、州刑務所の受刑者は現在、入所前にウイルス検査を受けておらず、所内の清掃も行われていないと主張しています。
 
また、刑務所内で新型コロナウイルスの感染が拡大した場合に想定される状況として、強制的な14日間の職員隔離による警備要員の不足、面会制限による暴動、不十分な医療体制による州の医療システムへの負担増加などを挙げています。
 
さらに、刑務所の医師は、回復の可能性が高い人のみを治療し、死亡する可能性が高い人々の治療を控えざるを得なくなる可能性もあると訴えています。
 

州政府の措置は憲法違反とする訴え

新型コロナウイルスに関連して矯正局は受刑者がソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)を確保できるようにせず、適切な衛生環境を提供せず、受刑者および刑務所職員の生命を危険にさらしたことなどの措置についてネイジェルは申し立てています。
 
ネイジェルによると、州政府の措置は州憲法の特権と免除に関する条項(ワシントン州憲法第12条第1項)、酷罰に関する条項( ワシントン州憲法第14条第1項)および州憲法による一般的義務である健康、安全、福祉の維持を怠たるものであるとしています。   
 
この訴えでは、ワシントン州矯正システムに対して、刑務所施設の適切な清掃と新型コロナウイルスの感染予防と感染者治療を行うための適切な措置を講じること、またはそのための容認可能な計画の立案を要求する裁判所命令を求めています。
 
ネイジェルはまた、60歳以上の軽罪による受刑者やウイルス感染のリスクが非常に高い受刑者の釈放またはそのような受刑者を在宅で電子的に監視とすることも要求しています。

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